2021 Fiscal Year Research-status Report
中枢神経系による腸管バリア制御機序の解明とLeaky gut治療への応用
Project/Area Number |
21K07883
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
石王 応知 旭川医科大学, 大学病院, 医員 (50869211)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野津 司 旭川医科大学, 医学部, 教授 (30312367)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 腸管バリア機能 / グレリン / オレキシン / アデノシン / 過敏性腸症候群 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はオレキシン、グレリンが中枢神経系に作用し、腸管バリア機能破綻(Leaky gut: LG)を改善することを明らかにしたが、中枢性のLG改善機序はまだまだ未解明な部分が多い。本研究は、この中枢性の腸管バリア機能制御機序の詳細を明らかにすることを目的に、グレリン中枢投与によるLG改善機序の詳細を薬理学的手法などにより検討した。グレリン中枢投与によるLG改善作用はオピオイド、ドパミン、カンナビノイド受容体拮抗薬投与で消失しなかったが、アデノシン受容体拮抗薬投与で消失し、グレリンは脳内アデノシンシグナルを利用しLG改善作用を発揮することを明らかにした。また、アデノシンA1ではなくアデノシンA2B作動薬中枢投与でLG改善作用が示され、脳内アデノシンA2Bシグナルの活性化が腸管バリア機能制御に関与することを見出した。このアデノシンA2B活性化によるLG改善作用は外科的迷走神経切断術で消失し、アデノシンA2Bシグナルによる腸管バリア機能制御機序に迷走神経系が関与すること、さらにアデノシンA2B選択的受容体拮抗薬投与がオレキシンではなくグレリンによるLG改善作用を特異的にブロックしたことから、アデノシンA2Bはグレリンの下流で腸管バリア機能制御に関与することを、それぞれ明らかにした。今回、グレリンの中枢性の腸管バリア制御メカニズムの解析により、アデノシンA2Bシグナルも腸管バリア制御に関与することを明らかにした。アデノシンA2B受容体は脳全体に分布し、炎症や低酸素などで発現が誘導され、その活性化には高濃度のアデノシンを必要とする。アデノシンは自然免疫を起動するダメージ関連分子パターン(DAMPS)という側面もあり、中枢神経系のアデノシンA2Bシグナル活性化による腸管バリア制御は、過剰な炎症反応を予め抑制する点で意義深い。以上の成果は、英文原著論文に報告済みである(Ishioh et al., Experimental Neurology 2021).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究実績の概要で記載した通り、概ね順調に結果はでており、英文原著論文(Ishioh et al., Experimental Neurology 2021)の他、複数の学会で成果を報告している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の研究をさらに進め、中枢性の腸管バリア機能制御機序の詳細の解明を目指す。
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Causes of Carryover |
COVID-19蔓延により、本施設全体で実験制限がかけられており、そのため次年度使用金額が発生した。 次年度、試薬などの消耗品などにあてる。
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