2022 Fiscal Year Research-status Report
消化管筋層の層構造形成と維持に関わる分子細胞メカニズム
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21K07891
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
飯野 哲 福井大学, 学術研究院医学系部門, 教授 (40242854)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀口 里美 福井大学, 学術研究院医学系部門, 学術研究員 (00595283) [Withdrawn]
堀口 和秀 国際医療福祉大学, 小田原保健医療学部, 教授 (20377451)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 消化管 / カハール介在細胞 / 線維芽細胞 / 消化管神経 / コレシストキニン |
Outline of Annual Research Achievements |
消化管筋層は平滑筋による層構造、カハール介在細胞ICCによる層構造、線維芽細胞による層構造、消化管神経による層構造が見られ、互いの機能的関連により消化管運動などの 機能発現をもたらす。消化管運動の機動力は平滑筋細胞であり、消化管神経が直接あるい はカハール介在細胞を介して平滑筋筋収縮を制御する。線維芽細胞も神経情報を受けとり 平滑筋運動に関与すると考えられており、神経により支配される3種類の細胞が機能的複合体を形成していると考えられている。 本年度は層構造を構築し維持する細胞群の特性解明に取り組んだ。その成果として結腸に おけるカハール介在細胞のうち、粘膜下組織との境界に分布するサブタイプ(ICC-SM)において特異的にコレシストキニン受容体Ⅰ型CCK1Rの 発現が見られることを明らかにした。 CCK1R特異的抗体を用いた免疫組織化学法によりcKitを発現するICC-SMにCCK1R発現が 観察され、一方平滑筋細胞や線維芽細胞には観察されなかった。結腸には筋層間にICC-MY、筋層内にICC-IMが分布するが、これらはCCK1Rを発現しなかった。消化管全体を考えると十二指腸起始部においてカハール介在細胞と平滑筋細胞の一部にCCK1Rが発現していることが知られるが、結腸ICC-SMにおける発現は我々の知見が初めてである。結腸ICC-SMは筋層最内層に1層のネットワークを形成する層特異性を持ち、結腸運動のペースメーカーとして働く。今回の成果はコレシストキニンが結腸運動にICC-SMを介して関与することを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コレシストキニン受容体Ⅰ型CCK1Rの発現が結腸筋層の特異的層構造において明らかにすることが出来た。一方、従来同じ研究室で共同研究を行っていた研究者が他大学へ栄転し研究時間が確保できなかったため、本研究課題の進捗が遅れ気味となった。現在、新たな研究者との共同研究を含め、研究の推進に取り組んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
結腸におけるカハール介在細胞に、コレシストキニン受容体の発現が明らかとなったことをうけ、発生時における発現変化や層構築との関連について、c-Kit発現トランスジェニックマウスを用いて研究を進める。
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Causes of Carryover |
研究分担者の異動に伴い研究計画を見直したため次年度繰越金が発生した。
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