2021 Fiscal Year Research-status Report
Novel mouse models of cholangiocarcinoma focusing on retinoid signaling and fatty liver
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21K07892
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
白上 洋平 岐阜大学, 医学部附属病院, 講師 (50632816)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
出田 貴康 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 助教 (90610379)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 肝内胆管癌 / 脂肪肝 / レチノイド / 胆管癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
肝内胆管癌は予後不良の悪性疾患であるが、確立された動物モデルがほとんどなく、発癌や進展の機序について分子生物学的な研究が進んでいない。このため、申請者らは新規マウス肝内胆管癌モデルの樹立を目指した研究を行っている。 申請者らはこれまでに、肥満および脂肪肝を呈するdb/dbマウスに対してazoxymethaneを投与することで、肝内に細胆管異形成および胆管細胞癌が発生することを見出した。また、肝細胞におけるレチノイドシグナルの阻害が肝細胞癌の発癌につながることを、細胞株およびマウスを用いた実験により確認している。 本年度は、Cre-loxPシステムを用いて、肝内において胆管上皮特異的にレチノイドシグナルが阻害された遺伝子改変マウスを作出し、胆管病変の発生について検討した。はじめに、Cre/loxP遺伝子組換えにより緑色(GFP)から赤色蛍光(RFP)に変換するROSA26 CreレポーターマウスとKrt19-iCreを交配させ、肝内において胆管上皮特異的なRFPの発現を確認した。次に、胆管上皮レチノイドシグナル阻害マウスを作出して経時的な観察を行った。肝細胞特異的レチノイドシグナル阻害マウスにおける肝細胞と同様に、胆道系における病変の発生が期待されたが、最長で約4カ月後に解剖を行ったが明らかな胆管病変の発生はみられなかった。 上記結果より、Krt19-iCreを用いた胆管上皮レチノイドシグナル阻害のみでは、少なくとも4カ月齢程度では肝内胆管癌は発生しないことが判明した。他の改変遺伝子の組合せや、胆管病変を誘発しうる薬剤や食餌を用いた検討が必要と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の実験結果より、Krt19-iCreを用いた胆管上皮レチノイドシグナル阻害のみでは肝内胆管癌が発生しない可能性が考えられた。そのため、異なる改変遺伝子の組合せや胆管病変を誘発しうる薬剤および食餌を用いた、実験系の再検討が必要と考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
胆管上皮レチノイドシグナル阻害マウスをさらに長期間観察することで、肝内胆管発癌がみられるかどうかについて実験を進めていく。また、申請者らは他の実験系において、脂肪肝が肝内胆管癌の発生を促進する可能性を示す結果を得ている。その際に用いた薬剤(azoxymethaneおよびthioacetamide)や高脂肪食との組み合わせが、上記マウスにおける肝内胆管発癌に寄与するかどうか検討する。さらに、CreマウスとしてAlb-CreやMx1-Creを用いて胆管上皮および肝細胞に生ずる変化を解析し、Krt-iCreとの比較を行うことで適切な遺伝子改変マウスについて検討していく。
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Causes of Carryover |
今年度は実験の準備段階であり、来年度より本格稼働するため、実験器具・試薬の購入費増加が予想される。従って翌年度への繰り越しが生じた。 また成果発表の為、国内学会での発表旅費が考えられる。
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Research Products
(6 results)