2021 Fiscal Year Research-status Report
大腸上皮細胞を介したIL-22とIL-33のクロストークが粘膜免疫へ及ぼす影響
Project/Area Number |
21K07893
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
杉本 健 浜松医科大学, 医学部, 教授 (20529507)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | IL-33 / IL-22 / 粘膜防御機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、全身性の免疫を低下させることなく、IL-22の作用によって消化管粘膜防御機構を増強させることにより、IL-33の放出量を減少させ、粘膜局所での炎症を抑制させることができるかどうかを明らかにし、これらの研究により難治性IBDの治療法の新たなオプションの確立に大きく寄与することができるかどうかを探索する。初年度の目標はin vitro, ex vivoにおけるIL-22のSTAT3を介した IL-33に対する分子生物学的反応および制御機構の解析である。具体的にはin vitroの解析として、ヒト大腸上皮培養細胞(T84)を使用してIL-33の発現を誘導することがすでに知られているepidermal growth factor(EGF)にて刺激し、IL-33の発現が上昇することを確認する。次にT84細胞をIL-22とEGFで同時に刺激し、IL-22がEGFによるIL-33の誘導に影響を与えるかどうか探索を行う。IL-22によりIL-33の抑制が確認された場合はT84細胞にSTAT3のsiRNAをtransfectionし、STAT3が抑制された状態においてEGFの刺激がIL-33の発現に影響を与えるかどうかを検討する。STAT3が抑制された状態でIL-33の発現に影響がない場合は、IL-22のIL-33抑制作用はSTAT3による直接効果ではなく、何らかの粘膜防御機構が関係した間接的な効果と判断される。これらが証明出来たら次にex vivoにおいてIL-22がIL-33の発現に与える影響を検討する。具体的にはマウスより単離した大腸上皮細胞(CEC)を培養し、EGFによる刺激でIL-33の発現が上昇することを確認する。次にCECをIL-22とEGFで同時に刺激し、ex vivoにおいてもIL-22がIL-33の発現に影響をあたえるかどうかを検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
EGFの刺激にてT84細胞におけるIL-33の発現が誘導されることは確認できたが、IL-22との共刺激によるIL-33の発現抑制についてはまだばらつきがみられており、これはまだ至適なEGFやIL-22の刺激濃度が決定されていないためであると思われる。現在これらの濃度を細かく調節することで徐々にIL-33の発現量を有意に低下させる至適濃度が決定しつつあり、2022年度中にはex vivoにおける解析が可能になると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
ex vivoにおけるIL-22のIL-33抑制機能を証明することができたら、次はin vivoにおけるIL-22のIL-33制御機構について解析を進める。具体的には野生型マウスDSS誘導大腸炎モデルにおけるCECのIL-33の発現と、それに引き続いて起こるILC2によるIL-5の産生、好酸球の活性化・増殖および好酸球が産生するケモカインについて解析する。野生型マウスにDSSを3日間連続飲水させ、その後通常の水に交換し腸炎を惹起させる(J Clin Invest 2008;118:534-44)。DSS飲水開始後7日目にマウスをsacrificeし、上記事項について解析する。
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Research Products
(12 results)