2021 Fiscal Year Research-status Report
ドライバー遺伝子異常に基づいた肝がん個別化薬物療法の構築
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21K07894
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
巽 智秀 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (20397699)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小玉 尚宏 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (10623275)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 肝細胞癌 / アテゾリズマブ / ベバシズマブ / リキッドバイオプシー / ctDNA |
Outline of Annual Research Achievements |
分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬など進行肝がんに対する薬物療法の選択肢は広がってきたが、いずれの奏効率も未だ3割以下と低い。肝予備能の限られた肝がん患者の予後改善には、治療効果予測バイオマーカーに基づいた “個別化医療”による最適な薬剤選択が必要である。そこで独自に開発した肝がん腫瘍間不均一性をモデル化したマウスを用いて、各種薬剤の治療効果に影響を与えるドライバー遺伝子の探索を実施した。肝がんの10種類のがん遺伝子を其々に対応する分子バーコードと共に同時に導入し、マウス肝細胞においてがん遺伝子を様々な組み合わせでランダムに活性化させることで、約2週間で遺伝的に不均一な多数の肝腫瘍を発症させた。このマウスをアテゾリズマブ+ベバシズマブ併用療法もしくはVehicleで治療を行い、治療早期並びに治療後期での肝腫瘍を回収して各種遺伝子発現、免疫細胞浸潤について検討を行った。アテゾリズマブ+ベバシズマブ併用療法によりこのマウスの生存期間はVehicle群と比べて有意に延長した。治療早期に肝腫瘍内にCTLやTh細胞の強い浸潤が認められ、また血管新生の阻害効果も確認された。現在治療後期の影響について検討を進めている。また、当施設を含んだ約10施設の進行肝がん患者において、分子標的薬による治療導入前にStreck採血管により血液を採取し、血漿分離した後に、磁気ビーズを用いてcell free DNAの抽出を行った。さらに、25種類の肝癌がん遺伝子を標的とした遺伝子パネルを作成し、Ultra-deepシークエンスによりctDNA解析を行った。85例中約半数においてctDNAが同定され、最も高頻度な変異遺伝子としてTERT promoter、TP53、CTNNB1が同定された。現在ctDNA変異と治療効果の関係を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に加えて、ctDNAの網羅的な解析に必要な遺伝子パネルを独自に作成した。また、想定以上のペースで研究に参加いただける症例が増えており、解析の前倒しが可能となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
マウスモデルを用いた遺伝子探索に加えて、ヒト臨床試料を用いたバイオマーカー探索を両輪で進めていく。
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Research Products
(13 results)