2021 Fiscal Year Research-status Report
超音波レオロジー理論を用いた脂肪性肝障害の病態解明と非侵襲的組織診断法の確立
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21K07902
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
飯島 尋子 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (80289066)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢野 博久 久留米大学, 医学部, 教授 (40220206)
波多野 悦朗 京都大学, 医学研究科, 教授 (80359801)
山口 匡 千葉大学, フロンティア医工学センター, 教授 (40334172)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | NASH / 超音波減衰法 / 肝線維化 / 肝発癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
超音波レオロジー理論を用いた脂肪性肝障害の病態解明と非侵襲的組織診断法の確立に関する研究は、先ず臨床例でのエラストグラフィでの脂肪肝とNASHの鑑別診断および肝線維化との関係を明らかにすることから開始した。 現時点では、脂肪肝の程度は肝線維化と関連がないことが推測される結果になった。 脂肪肝の診断は既存の方法による組織診断をスタンダードに検討しているが、近年MRI PDFFの使用が可能となったため、来年度以降は、組織ならびにMRIでの診断も加える予定で進める。特にgrade1の5%~33%脂肪肝の診断法そ確立させることと、レオロジーに基づき粘性を考慮した診断に関しての研究を令和4年度にすすめる。さらに発癌については超音波顕微鏡による組織内の脂肪分析を併せて行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脂肪肝およびNASH診断の為の超音波診断と組織診断法と検討は順調に症例を蓄積している。 肝生検と同時に超音波減衰法による肝脂肪化診断(Attenuation imaging; ATI)を施行した328人(女性/男性;196/132例、年齢中央値61歳、背景肝 HBV/HCV/nonBnonC: 72/77/179例)を対象とし脂肪化と線維化の関係を検討した。組織学的肝脂肪化はS0<5%、S1; 5-33%、S2;34-66%、S3>66%。組織学的肝線維化とATIによる脂肪化について、重回帰分析による交互作用の検討を行った。 組織学的肝脂肪化(S grade)ごとのATIはそれぞれS0; 0.55 (0.52-0.60)、S1; 0.61 (0.57-0.68) 、S2; 0.76 (0.68-0.81) 、S3; 0.82 (0.75-0.89)とS stageの進展とともに有意に上昇した(p<0.001)。組織学的肝線維化(F stage)ごとのATIはそれぞれF0; 0.57 (0.51-0.62)、F1; 0.58 (0.53-0.63) 、F2; 0.60 (0.54-0.68)、F3; 0.61 (0.58-0.75)、F4; 0.65 (0.59-0.75)とF0/1とF3/4の間に有意差を認めた。 F stage別のS gradeの分布を解析したところ、F3/4でS2/3の割合が高かったため、S gradeごとにF stage別ATI値を検討したところ、いずれのS gradeでもF stageの進展とATIの関連は認められなかった。S grade,F stageまたS grade×F stageとATIとの交互作用の検討ではp値がそれぞれ<0.001、0.096、0.077とS stageとのみ有意差を認め、VIF値は1.094、1.079、1.074であった。
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Strategy for Future Research Activity |
前述の通り、肝生検による組織診断とMRI PDFFを参照とし脂肪化および肝線維化の程度との検討を行う予定である。5%以上が脂肪肝と診断されるが、脂肪化grade1には、5-33%と幅があり、30%程度以上の脂肪化に値がシフトすることが考えられる。一般診療では、軽度脂肪肝の時点で生活介入し、NASHへの進展を予防する必要がある。また、NASH診断に関しては、炎症のイメージングバイオマーカーのひとつであるdispersion slope(DS)のデータも同時に解析する必要があり、併せてデータを集積中である。これらの臨床データは令和4年度には解析の症例を蓄積しており、レオロジー理論での結果が明らかとなる予定である。NASH発癌例での超音波顕微鏡による組織内の脂肪分析に関しての研究がコロナの影響で共同研究者の学内立ち入りが禁止になり、さらにコロナの影響でラットの入荷遅れで基礎研究に遅れが生じている。令和4年、夏には開始出来る見込みで進めている。
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Causes of Carryover |
超音波顕微鏡による組織内の脂肪分析に関しての研究がコロナの影響で共同研究者の学内立ち入りが禁止になり、さらにラットの入荷遅れで基礎研究に遅れが生じている。令和4年度は、令和3年度に出来なかった実験を行う予定である。
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Research Products
(7 results)