2023 Fiscal Year Annual Research Report
デジタルパソロジーによる病因に基づく非アルコール性脂肪性肝疾患の病理像の探索
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21K07916
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
宮明 寿光 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (20437891)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福島 真典 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (80835596)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | デジタルパソロジー / AI / 線維化 / MASH / 線維シグネチャー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はデジタルパソロジーの技術を用いてMASH患者の病理パターンの網羅的解析を行う研究である。 研究1としてMASH肝硬変にて肝移植を行った17症例の線維化パターンの網羅的解析を行い、MASHの発癌に特徴的な線維化パターンを検討した。8例の肝細胞癌症例と9例肝細胞癌なしの症例の非癌部の解析を行った。両郡間でコラーゲンの質や構造に有意差は認めなかったが、線維の形態学な変化(線維の幅、線維の屈曲度の尖度)に有意差を認めた。コラーゲン線維の形態的特徴を数値化したスコアを比較したところ、有意差を認めた。また、そのスコアによりHCC群と非HCC群を区別したところ、感度75%、特異度100%という結果で判別可能であった。 研究2としてMASH にて肝生検を行い線維化進行(F3,4)でその後HCCが発生した7例と年齢と性別をマッチした6例を対象とし、同様の手法で線維化パターンを比較検討した。生検例では線維の量、形態学、構造スコアともにHCC群と非HCC群で有意差を認めた。特に繊維の形態学スコアで強い有意差を認めた。移植例と同様に肝生検例でも線維の屈曲度の尖度でHCC群と非HCC群に差を認めた。それぞれのスコアの組み合わせによる総合スコアではHCC群と非HCC群を区別したところ、感度85%、特異度100%という結果で判別可能であった。 研究3としてアルコール性(ALD)肝硬変36例とMASH肝硬変17例のレシピエント移植肝の線維パターンを検討した。ALD患者において代謝異常のいずれかを併存しているMASH併存症例24例をALD/MASH、併存のない12症例をALD/non-MASHと2群に分けた。線維化パターンの解析においてはALD/non-MASHとALD/MASHの性質はコラーゲン面積や線維1本1本の長さ、幅、屈曲度ねじれのような線維形態の面では類似していたが、線維化の分布・構造に関してはALD/MASH症例は線維化面積の分布に均一性があり、線繊維の分布は乱雑に配置されるという傾向がMASH症例に近い構造の特徴を呈していた。
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