2021 Fiscal Year Research-status Report
自然免疫から獲得免疫へのシフトによる高度で質的に異なるメチル化異常誘発の機序解明
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21K07928
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
竹島 秀幸 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, ユニット長 (40432497)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | エピジェネティクス / DNAメチル化 / 慢性炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫応答の慢性化は、胃がん・大腸がん・肝がんなどの慢性炎症に関連したがんの発生に深く関与する。そのメカニズムとして、慢性炎症により誘発されるエピゲノム異常(DNAメチル化異常)の関与が知られている。申請者は、このDNAメチル化異常誘発には、自然免疫により産生されるIL-1βやTNFαによるDNA脱メチル化酵素の発現抑制、一酸化窒素によるDNAメチル化酵素の酵素活性増強が重要であることを解明した。一方、自然免疫に続いて発動する獲得免疫がDNAメチル化にどのように影響するかは不明である。本研究では、鳥肌胃炎をモデルとして用いて、自然免疫から獲得免疫へのシフトによる高度で質的に異なるDNAメチル化異常誘発の機序解明を目的とする。 1年目の本年度は、まず、鳥肌胃炎があるヒト胃粘膜10症例、及び、通常の慢性炎症(萎縮性胃炎)があるヒト胃粘膜10症例におけるDNAメチル化をゲノム網羅的に解析した。クラスター解析の結果、鳥肌胃炎10例のうち6例は萎縮性胃炎とは別のクラスターに分類され、124個の遺伝子で異常メチル化(メチル化レベルの上昇≧10%)を示した。鳥肌胃炎10例と萎縮性胃炎10例の比較でも、CDH1やDAPK1などのがん抑制遺伝子が鳥肌胃炎でより高度にメチル化されていた。 次に、鳥肌胃炎特異的に高発現しているサイトカインを明らかにするためにRNA-seq解析をおこなった。その結果、鳥肌胃炎では、IL13、IL16、IL33などのTh2サイトカイン遺伝子が優位に発現していることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度に予定していた、1)鳥肌胃炎があるヒト胃粘膜10症例のDNAメチル化解析を実施し、鳥肌胃炎に曝露することで、より高度なDNAメチル化異常が誘発されることを証明したこと、2)鳥肌胃炎では、IL13、IL16、IL33などのTh2サイトカイン遺伝子が優位に発現していることを明らかにしたことから、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
高度で質的に異なるメチル化異常誘発の分子メカニズムを、i)DNAメチル化を制御する因子、ii)メチル化されるゲノム領域を規定する因子に着目して解明する。DNAメチル化を制御する因子については、DNAメチル化酵素(DNMT1、DNMT3A、DNMT3B)、及び、脱メチル化酵素(TET1、TET2、TET3)のゲノム上での増減と分布変化をChIP-seq法により解析する。変化が認められた場合は、DNAメチル化酵素や脱メチル化酵素の特定ゲノム領域へのリクルートに関与する可能性のある転写因子等を探索する。メチル化されるゲノム領域を規定する因子については、メチル化されるゲノム領域のマークとして知られるヒストンH3の27番目のリジンメチル化(H3K27me3)の増減と分布変化を解析する。
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Causes of Carryover |
鳥肌胃炎特異的に高発現しているサイトカインの解明を、当初計画していたサイトカインアレイを用いずにRNA-seqのみでおこなったため、次年度使用額が生じた。生じた助成金は、次年度のオルガノイドを用いた解析等に使用する予定である。
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Research Products
(4 results)