2022 Fiscal Year Research-status Report
活性化肝星細胞におけるSOCS3のエピジェネティック抑制とSTAT3の活性化亢進
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21K07944
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中尾 一彦 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (00264218)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮明 寿光 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (20437891)
三馬 聡 長崎大学, 病院(医学系), 講師 (30437892)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 肝星細胞 / TGF-β / SOCS3 / STAT3 / DNA methyltransferase |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト肝星細胞株であるLX2細胞並びにHHSteCs細胞をTGF-β存在下で2継代以上培養することで両細胞に活性化(myofibroblast様形質転換)が誘導され、それが維持された。加えて、αSMAの発現、I型コラーゲン産生が確認された。さらに、JAK2-STAT3シグナルも肝星細胞の活性化に関与していることから、リガンドであるIL-6が肝星細胞の活性化にTGF-βと相加的に作用しうるか検討するため、TGF-βで活性化を誘導した肝星細胞株にIL-6を添加したところ、IL-6濃度依存的にJAK2-STAT3シグナルの活性化が確認され、αSMA発現量、I型コラーゲン産生量が増加することが確認された。 一方、TGF-β によって活性化が維持された肝星細胞におけるSOCS3の発現量を活性化前と比較したところ、軽度ながら、活性化肝星細胞においてSOCS3の発現低下が認められた。加えて、IL-6添加によるSOCS3の発現量変化も検討したところ、SOCS3の発現誘導は認めず、JAK2-STAT3シグナルに対するネガティブフィードバック経路が作動していないことが示唆された。現在、このSOCS3の発現低下ならびにフィードバック不応が、メチル化によるエピジェネティックな抑制であるかについて、以下の検討を行っている。 メチル化によるエピジェネティックな抑制を明らかにするため、脱メチル化剤の5-aza処理を行うことでSOCS3の発現が回復するか否かを検討したところ、発現の回復とIL-6添加による発現誘導が認められた。同時にαSMA発現量、I型コラーゲン産生量の低下が認められた。現在、活性化前後のSOCS3遺伝子プロモーター領域のメチル化の解析と活性化前後のDNA methyltransferaseの発現変化を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
おおむね予想通りの結果が得られている。脱メチル化剤の5-aza処理を行うことでSOCS3の発現が回復するか否かを検討したところ、発現の回復とIL-6添加による発現誘導が認められたが、活性化前後のSOCS3遺伝子プロモーター領域のメチル化解析、並びに活性化前後のDNA methyltransferaseの発現変化の解析に時間を要しており、この点が遅延している。活性化肝星細胞で認められたSOCS3の発現低下がメチル化によるエピジェネティックな抑制であることを証明できれば、当初の仮説が正しいこととなるので、鋭意検討を進めたい。
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Strategy for Future Research Activity |
メチル化によるエピジェネティックな抑制を明らかにするため、脱メチル化剤の5-aza処理を行うことでSOCS3の発現が回復することが確認されたので、今後は、現在検討中である活性化前後のSOCS3遺伝子プロモーター領域のメチル化ならびに、活性化前後のDNA methyltransferaseの発現変化の解析に注力したい。さらに、a) 5-aza処理により、肝星細胞のmyofibroblast様形態転換が抑制され非活性化状態に戻ることが確認されたので、b) DNA methyltransferaseのsiRNA導入、c) SOCS3の強制発現により同様の変化が起きるか検討を行う予定である。
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