2021 Fiscal Year Research-status Report
The clinical applications of long non-coding RNA and extracellular vesicles to diagnosis and therapy for pancreatic cancer
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21K07954
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
高橋 賢治 旭川医科大学, 大学病院, 助教 (00736332)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水上 裕輔 旭川医科大学, 医学部, 教授 (30400089)
小野 裕介 医療法人徳洲会札幌東徳洲会病院医学研究所, ゲノム診断研究部, 部門長 (40742648)
小暮 高之 東北医科薬科大学, 医学部, 講師 (70400330)
藤井 聡 旭川医科大学, 医学部, 教授 (90291228)
谷上 賢瑞 東京大学, アイソトープ総合センター, 特任准教授 (90648627)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 長鎖ノンコーディングRNA / 細胞外小胞 / 膵癌 / リキッドバイオプシー / エクソソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
長鎖ノンコーディングRNA(lncRNA)の機能が解明されつつあるが、膵癌における報告は依然少ない。膵癌は早期より浸潤・転移を伴うことが多く、その制御機構の解明と早期診断に寄与する新規バイオマーカーの探索は急務である。申請者らはこれまで、膵癌患者血清中の細胞外小胞(EV)中に高発現する新規lncRNAとしてLINC02280とLOC100507412を同定し、膵癌細胞を用い癌遺伝子として機能し得る証左を得ている。 本研究では、これら新規lncRNAのEVを介した膵癌進展制御機構を明らかとし、lncRNAを標的とした核酸創薬の基盤を確立する。さらに、組織・血液EV中の発現解析と、膵酵素や腫瘍マーカー、耐糖能などの血液検査所見、及びcfDNAにおけるドライバー遺伝子変異との関連性も調べ、膵癌早期診断のための遺伝子変異・lncRNAマーカーを統合したリキッドバイオプシーによる新たな評価系を提唱する。 本研究において、膵発癌・進展を制御する新規「EV lncRNA」に関わる分子ネットワークを掌握し、膵癌発生に関わるドライバー遺伝子の解析と統合することで、次世代の膵癌診断ストラテジーを構築し、治療・創薬において全く新たなツール開発につながる可能性が高い。 また、このようなアプローチによって、新たな視点から膵癌早期診断法の開発や治療標的分子の特定が可能となり、難治癌ブレイクスルーの有効かつ具体的な手段を提起できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでの研究結果から、LINC02280は上皮間葉形質転換(EMT)促進を介して膵癌細胞の浸潤・遊走能を増強し、LOC100507412はアポトーシス抑制に寄与することから、両lncRNAとも膵癌細胞において癌遺伝子として機能する証左を得ている。現在両lncRNAに対するCRISPR-Cas9を用いたノックアウト細胞を樹立中である。 一方で、患者血清や組織における発現解析を進めており、リキッドバイオプシーの新たな標的としての有用性について解析を続けている。 ノックアウト細胞の樹立に時間を要していることと、当初の予定より患者検体の収集に時間を要していることから、本研究にやや遅れが生じている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
両lncRNAに対するCRISPR-Cas9を用いたノックアウト細胞を樹立し、それぞれに特異的な結合タンパクを同定し、その働きを詳細に検討することで、l膵癌細胞におけるlncRNAによるEMTやアポトーシスの制御機構について明らかとする。 また、より迅速に患者検体の収集を進め、血液中のcfDNAを用いた遺伝子変異解析と統合し、リキッドバイオプシー標的としての有用性について検証を続けていく。
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Causes of Carryover |
(理由)実験が当初の予定よりもやや遅れていることから、今年度の使用額が当初の見込みより減額となったため。 (使用計画)主にlncRNAの機能解析実験に使用する試薬や、患者検体からEVを抽出し、EV内RNAの発現解析をするために必要な試薬の購入費として使用する。
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