2022 Fiscal Year Research-status Report
ゲノム不安定性による体細胞モザイクを介したクローン病の発症・病態変化の解析
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21K07955
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
角田 洋一 東北大学, 大学病院, 助教 (50509205)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木内 喜孝 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 教授 (20250780)
黒羽 正剛 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (70709469)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | クローン病 / 染色体異常モザイク |
Outline of Annual Research Achievements |
LossやGainといった、染色体異常があるクローンが正常のクローンと混在している染色体異常モザイク(mCA)について、クローン病(CD)や潰瘍性大腸炎(UC)などの炎症性腸疾患(IBD)の患者においてどの程度発生しており、それがどのように病態にかかわっているか、さらには、薬剤などの影響でそのリスクが増幅されていないかなどを検討を進めた。これまで、大規模アレイ解析のデータをもとに解析を進め論文化を行った。 論文発表にあたり、解析手法としての限界ともいえる問題が指摘された。アレイに設定されているマーカーの密度(マーカー間の距離)の問題から、全体として変異部位の同定はかなり荒い推定になってしまう。また、マーカー間の距離も部位によって大きく異なることから、推定された変異領域には大きなGapが存在している。そのため、これまでの解析で推定された領域は、その領域の機能的な予測には、かなりのずれを含んだ予測であり、信頼度が限定的である。 そこで、今年度はモザイクのより正確な範囲および、染色体構造変異にとどまらないモザイクも把握できるよう、解析の設定をアレイから、全ゲノムシーケンス解析にシフトし、あらためて解析を開始した。 並行して、アレイ解析で得られたデータをもとに、モザイク変異の有無が、疾患の罹患範囲などの病型との関連がないか、さらに発症年齢や重症度との関係がないかについて追加の解析を行った。その結果、いずれの表現型においてもモザイクとの関係はみとめられなかった。一方で、性染色体異常のモザイクが、健常人に比べて有意に多く、潜在的な性染色体異常のIBD発症への関連が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大規模ゲノムデータによる解析が順調に進み、結果の論文化が行われた。
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Strategy for Future Research Activity |
炎症性腸疾患、特にクローン病とモザイク変異の関連性が示されたことから、全ゲノムシーケンスなどによる詳細な変異解析を進めていく。
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