2023 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム不安定性による体細胞モザイクを介したクローン病の発症・病態変化の解析
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21K07955
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
角田 洋一 東北大学, 医学系研究科, 講師 (50509205)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木内 喜孝 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 教授 (20250780)
黒羽 正剛 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (70709469)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 染色体変異モザイク / クローン病 / 潰瘍性大腸炎 / 全ゲノムシーケンス解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
アレイ解析データにもとづいたモザイク解析では、推定される変異領域のGapの存在が問題になる。さらに単にLoss/Gainといった染色体の構造異常だけではない、延期配列そのものの異常(変異)のモザイクがあるかはアレイ解析では全く不明である。このようなモザイク変異解析におけるアレイデータを使用した場合の問題点の解決にむけて、全ゲノムシーケンス解析による解析に切り替えた。これによって、アレイ解析で得られた潰瘍性大腸炎よりもクローン病で染色体異常モザイク変異が多いこと、性染色体モザイク変異が健常人よりも炎症性腸疾患患者全体で多いこと、チオプリン製剤がモザイク変異のリスクになる可能性を確認するほか、その変異がどのような遺伝子領域に多く、その機能がどのようなパスウェイとかかわっているか、さらに、アレイでは確認できなかった配列の変異モザイクによる解析から、新たな疾患発症メカニズムにかかわる変異の同定を目指す。 新規検体を含め500検体を超えるIBD全ゲノムシーケンスを行いFASTQデータを順次得た。当初のアレイ解析とは異なり、全ゲノムシーケンス解析ではデータ量が膨大であり、これまでに一般的な変異解析処理まで完了したもののモザイク変異解析は年度末までに完了しなかった。データ取得自体は完了しているため、現在、遺伝研スパコン上において順次解析を行っている。 また、チオプリンとモザイクとの関連については、NUDT15遺伝子多型による影響の可能性を検討した。その結果、NUDT15遺伝子多型によるモザイク変異の頻度に有意な違いは確認されなかった。ただし、チオプリンの使用とNUDT15遺伝子多型は、レセプトデータの解析から、そもそも遺伝子多型検査が実用化される以前と以後でチオプリンの使い方に変化があるためその点の考慮が必要と考えられた。
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Research Products
(2 results)