2023 Fiscal Year Annual Research Report
腸管バリアに注目した非アルコール性脂肪肝疾患の新規治療の開発
Project/Area Number |
21K07966
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
結束 貴臣 横浜市立大学, 医学研究科, 客員講師 (30738620)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 腸管透過性 / 非アルコール性脂肪肝疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
非アルコール性脂肪性肝炎(nonalcoholic steatohepatitis:NASH)は脂肪肝を主体とした肝の炎症性疾患であり、肝硬変や肝細胞癌を伴う進行性の疾患であるが、その病態進展機序は未だ不明である。我々はこれまでに、線維化進展NASH患者では腸管透過性が亢進し,血中ETが増加することを確認するとともに次世代シークエンサーを用いた糞便菌叢解析によりFecalibacterium属(FB)が有意に減少することを発見した。NASH病態進展にはFB低下に伴い腸管透過性の亢進を介して血中ETの増加することが一つの鍵であると考えられたため、FB生菌を用いてNASHモデルマウスに対する効果を検討したところET、腸管透過性の改善とともにNASH病態改善を認めた。高脂肪高果糖高コレステロール食負荷非アルコール性脂肪肝炎の発癌モデルを安定的に作成することに成功した。またフェカリバクテリウムの経口ゾンデ投与を解剖前2か月間施行した。その結果、フェカリバクテリウム投与群では、腸管透過性の低下に加えて、肝臓内の腫瘍の大きさや個数、体積が有意に低下していた。本研究結果から、フェカリバクテリウムは腸管透過性の改善、肝腫瘍縮小予防効果を認めた。肝臓癌モデル作成やフェカリバクテリウムの投与ができており、仮説に見合った研究結果が得られているため、肝腫瘍内の背景肝や大腸上皮の遺伝子、蛋白、免疫細胞の解析を行った。腫瘍による背景肝の脂肪化や線維化は変わらなかった。大腸上皮のタイトジャンクション遺伝子である、CLDN4,8, 15が有意にカイン前しており、腫瘍内CD8の増加を認めた。腸管透過性を介して肝腫瘍の増大が起きているかどうかDSS腸炎モデルを用いて、裏とり実験を計画したところ、DSS処理をした群では、フェカリバクテリウムによる腫瘍増殖がキャンセルされていた。
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