2021 Fiscal Year Research-status Report
消化管上皮幹細胞における古典的WNTシグナル伝達経路の多様性に関する研究
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21K07972
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
土井 知光 産業医科大学, 医学部, 講師 (70437218)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 消化管上皮幹細胞 / βーcatenin / p300 / CBP |
Outline of Annual Research Achievements |
古典的WNTシグナル伝達経路は、β-cateninを介して転写制御を行うことで、消化管幹細胞の維持、分化において中心的役割をしている。しかし、幹細胞から分化する過程でWNTシグナルの標的遺伝子が切り替わる仕組みは明らかになっていない。申請者はこれまでに、β-cateninと結合するコアクチベーターがCBPからp300にスイッチすることで、標的遺伝子が切り替わることを示した。そこで本研究ではさらに発展させ、消化管上皮幹細胞及び分化過程における異なるβ-catenin複合体の役割を明らかにすることを目的に研究を行っている。昨年度は計画に従って、組織内におけるβ-cateninとコアクチベーターとの相互作用を、Proximity Ligation Assay (PLA)を用いて解析した。これまでの研究で、β-catenin / p300はc-JUNと共局在することを明らかにしている。そこで、胃、小腸、大腸粘膜上皮におけるβ-cateninとc-JUNの結合を検討した結果、小腸陰窩底部においてのみ、β-cateninとc-JUNの結合が検出された。β-catenin / c-JUNシグナル陽性細胞は陰窩、最底部の数個の細胞に見られ、いわゆる静的幹細胞として注目されている+4とは異なる領域であった。β-catenin / p300は幹細胞から1段階分化が進行したTransitional Amplifying (TA)細胞で機能すると考えられているため、このような細胞が検出されていると考えられた。今後、このような細胞分画の性状、及びβ-catenin阻害剤に対する応答性などを検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに消化管上皮内における転写因子間の相互作用を検討することができた。また、論文も報告することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の結果を踏まえ、小腸上皮細胞で検出されたβ-catenin / c-JUN陽性細胞の性状解析を行う。また、同様の相互作用をオルガノイドでも確認し、阻害剤への応答性を検討していく予定である。また、計画にある化合物スクリーニングの準備を進める。
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Causes of Carryover |
化合物スクリーニング系の構築などの一部実験が未実施となっている為で、次年度移行実施していく予定である。
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