2022 Fiscal Year Research-status Report
Dlk1による小腸発生段階における間質上皮crosstalkの解明
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21K07976
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
南 由佳 (小林由佳) 東京大学, 医学部附属病院, 届出研究員 (80724658)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 伸三 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (30723746)
早河 翼 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (60777655)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | DLK1 / 小腸 / 分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本計画では、昨年度、小腸発生段階における間質上皮crosstalkを解明をするために、まず、マウスの胎児期E14,5および成体期マウスの小腸より、間質初代培養細胞を採取した。培養液を、血清非添加培地に交換後、RNAを回収しRNAseqによる網羅的な発現解析を行った。その中で、NotchリガンドであるDlk1が胎児期でのread数が多い一方、成体期においては少ないことから、機能的な差をもたらしていると考えその解析対象とした。 本年度は、胎児由来の小腸オルガノイドを採取培養し、胎児および成体由来の小腸間質細胞と共培養することで、小腸粘膜の分化成熟に与える影響を解析を行った。その結果、胎児由来の小腸間質細胞と共培養した場合においては、オルガノイドの形態が球形を維持し続けることが分かった。一方、単独で培養した場合は、培養期間が過ぎるにつれて、成体由来の小腸オルガノイドと同じように、buddingした形態へと変化していくことがわかった。このことは、培養系においても、上皮単独では時間の経過とともに、分化成熟方向へと性質が変化していることを示唆している。また、成体由来の小腸間質細胞と胎児由来の小腸オルガノイドを共培養した場合においても、単独培養と同じようにbuddingした形態へと変化していくことがわかり、胎児由来の小腸間質細胞は特異的な分化抑制シグナルを有していることが示唆された。続いてDLK1がその分化抑制機能に寄与しているか確認するため、siRNAでDLK1をKDした胎児小腸間質細胞と共培養したところ、その現象がキャンセルされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウス胎児由来の小腸間質細胞と、小腸オルガノイドの共培養系の実験系の確立に成功している。また、その実験系を使用し形態を利用した小腸オルガノイドの分化誘導の様子を観察することに成功している。さらにsiRNAを利用したDLK1のKD実験において、小腸間質細胞由来のDLK1が、仮説の通り胎児小腸の分化誘導抑制に寄与していることを示唆する研究結果を得ることができており、研究の進捗はおおむね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画としては、siRNAによる胎児由来小腸間質細胞のDLK1のKD実験において、分化誘導抑制能が示唆されていることから、成体由来の小腸間質細胞にリコンビナントDLK1を添加し、胎児由来の小腸オルガノイドの分化に与える影響を検証する予定である。この実験系においても分化誘導が抑制される結果となれば、DLK1による小腸分化抑制がより確かなものとなる。また、DLK1のKOマウスの胎児の解析を行うことを計画している。KOマウスにて、胎児小腸上皮の分化促進が確認されるかどうかを検証する予定である。
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