2022 Fiscal Year Research-status Report
肝癌オルガノイドを用いた肝癌微小環境中免疫学的プロファイルに関わる病態解明
Project/Area Number |
21K07977
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
村川 美也子 東京医科歯科大学, 東京医科歯科大学病院, 助教 (20733851)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朝比奈 靖浩 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 寄附講座教授 (00422692)
柿沼 晴 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (30372444)
岡本 隆一 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (50451935)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 肝細胞癌 / オルガノイド / 肝癌微小環境 / 細胞間相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究者らはこれまで行ってきた慢性肝炎における肝内免疫動態や肝癌ゲノムの解析に基づく知見および、独自に樹立したiPS細胞由来の新規肝細胞培養系を用いた免疫シグナルや遺伝子機能解析から得られた結果を発展的に統合し、肝癌微小環境における癌細胞と免疫細胞の相互作用機構および薬物反応機序を明らかにすることを目標として今年度の研究を行い、下記の成果を得た。 (1)患者生検検体由来肝癌オルガノイドの樹立:ヒトiPS-Hepオルガノイド培養系を開発し、最適化した培地での3D培養では多数の肝細胞関連遺伝子発現が長期の継代培養を経ても保たれること、肝細胞に特徴的な微小構造を認めることを確認し、学会報告を行った。 (2)ICIを含む全身化学療法の治療反応性を規定する分子機構の解明:ICIであるアテゾリズマブ+ベバシズマブ(ATZ+BV)併用療法を行ったHCC患者において、引き続き治療反応性や有害事象に関わる因子の解析を行っているが、臨床因子からの予測は困難で癌ゲノムや免疫学的なアプローチが必要であることが再認識された。また、肝癌治療反応性に関わる免疫要因の同定を目指し、全身化学療法および経カテーテル肝動脈化学塞栓療法(TACE)を行った患者リンパ球の解析を行った。治療前・治療後でのリンパ球プロファイルの比較により、CD14高発現単球に占めるCXCR1陽性単球の割合がTACE後に増加すること、この好中球様単球が免疫制御能を持つことを明らかにし、論文発表した(Cell Reports.2023 Mar 28;42(3):112165)。 (3)全身化学療法中の肝癌ゲノム/免疫プロファイルの経時的変化の解析:毛細血管拡張性運動失調症(AT)を背景としたHCC症例について全ゲノム解析・RNA解析を行い、ATZ+BV治療反応性に関わる分子機構とATM遺伝子異常との関連を解析中である(投稿準備中)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の基盤となるヒトiPS細胞由来肝細胞オルガノイド培養系の最適化は進展している。ヒトiPS細胞由来肝細胞オルガノイドは胆管細胞系譜に分化した細胞はほぼ含まれず、肝芽細胞に近い肝細胞系譜細胞から構成され、長期間の継代培養が可能となった。その維持培養に必要な分子機構を網羅的に解析し、各種の学会で報告を行っている。現在は患者由来肝癌検体からのオルガノイド作成に向けての条件検討をさらに進めている。肝癌患者のリクルートも進んでおり、実験系の構築とも並行して、予定通り臨床検体を用いた解析の段階に移行する計画である。 また、当初の予定に追加して癌細胞と免疫細胞の相互作用からみた、免疫学的なアプローチも並行しており、現在までに解析が済んでいるTACE後患者に加えて今後は全身薬物療法を行った患者におけるリンパ球の反応、免疫制御機構の解析を行う予定である。ATM遺伝子異常を背景とするHCCのゲノム解析結果と併せ、今後はさらに、ex-vivoで得られた結果をオルガノイド培養系に持ち込み、詳細な免疫応答機構の解明を行うことも検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
前項に記した(1)、(2)、(3)については、今年度の実績に基づき更にこれを継続、遂行する。(1)にて肝癌患者検体由来肝癌オルガノイド実験系が確立された後には、細胞内シグナルおよび末梢血リンパ球や各種免疫細胞との共培養による免疫担当細胞との相互作用解析を行う。(2)で同定した免疫制御性単球と肝癌オルガノイドの共培養により、炎症を介した癌免疫メカニズムの解明も目指す。また、肝細胞オルガノイドの遺伝子改変により(3)で同定された遺伝子変異による肝発癌メカニズム、ICIやVEGFに対する治療反応の検証を行う。ICI著効例と無効例の肝癌オルガノイドを比較することでICIやVEGF阻害薬などの分子標的薬添加時の遺伝子発現や細胞内シグナル活性変化を解析し、治療反応性に関わるゲノム異常や関連する分子機構、VEGF阻害薬による抗腫瘍効果の上乗せメカニズムを明らかにする。
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Causes of Carryover |
理由:試薬等が計画当初より廉価で購入可能であったため。 使用計画:検討する数・種類を拡大して解析を行うため、試薬を増量して購入する予定である。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] The early neutrophil-committed progenitors aberrantly differentiate into immunoregulatory monocytes during emergency myelopoiesis2023
Author(s)
Ikeda N, Kubota H, Suzuki R, Morita M, Yoshimura A, Osada Y, Kishida K, Kitamura D, Iwata A, Yotsumoto S, Kurotaki D, Nishimura K, Nishiyama A, Tamura T, Kamatani T, Tsunoda T, Murakawa M, Asahina Y, Hayashi Y, Harada H, Harada Y, Yokota A, Hirai H, Seki T, Kuwahara M, Yamashita M, Shichino S, Tanaka M, Asano K.
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Journal Title
Cell Reports
Volume: 42
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Factors associated with liver injury and prognosis in advanced cancer patients treated with immune checkpoint inhibitors.2023
Author(s)
Kaneko S, Asahina Y, Nakagawa M, Murakawa M, Miyazaki Y, Asakage T, Fukuda S, Namiki T, Kano Y, Nagata M, Tsuchiya J, Miyoshi M, Kitahata-Kawai F, Nitta S, Itsui Y, Kakinuma S, Okamoto R.
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Journal Title
Hepatology Reserch
Volume: 53
Pages: 450-459
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Clinical Usefulness of Monitoring Muscle Volume during Atezolizumab Plus Bevacizumab Therapy in Patients with Unresectable Hepatocellular Carcinoma.2022
Author(s)
Matsumoto H, Tsuchiya K, Nakanishi H, Hayakawa Y, Yasui Y, Uchihara N, Suzuki K, Tanaka Y, Miyamoto H, Ishido S, Yamada M, Keitoku T, Nobusawa T, Higuchi M, Takaura K, Tanaka S, Maeyashiki C, Tamaki N, Takahashi Y, Kurosaki M, Asahina Y, Okamoto R, Izumi N.
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Journal Title
Cancers (Basel)
Volume: 14
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Clinical usefulness of geriatric assessment in elderly patients with unresectable hepatocellular carcinoma receiving sorafenib or lenvatinib therapy.2022
Author(s)
Sekiguchi S, Tsuchiya K, Yasui Y, Inada K, Kirino S, Yamashita K, Hayakawa Y, Osawa L, Higuchi M, Takaura K, Maeyashiki C, Kaneko S, Tamaki N, Nakanishi H, Itakura J, Takahashi Y, Asahina Y, Okamoto R, Kurosaki M, Izumi N.
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Journal Title
N. Cancer Rep (Hoboken)
Volume: 5
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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