2022 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the pathophysiology of colitis in CCR-deficient mice and establishment of a functional classification method for intestinal Th17 cells.
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21K07984
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
小林 隆志 大分大学, 医学部, 教授 (30380520)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 和成 大分大学, 医学部, 教授 (00239485)
小坂 聡太郎 大分大学, 医学部, 助教 (60835700)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ケモカイン受容体 / ゲノム編集マウス / Th17細胞 / 炎症性腸疾患 / 疾患モデルマウス / CCR6 / CCR2 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ケモカイン受容体に着目して感染防御を担うTh17細胞と免疫寛容を担うTh17細胞を識別する方法を確立することである。 昨年度、腸炎の病態形成に働くケモカインとTh17細胞を明らかにするため、マウスにDSSを投与して実験的大腸炎を誘導した。その結果、野生型マウスやCCR2欠損マウスに比べCCR6欠損マウスで重症化した腸炎が、CCR2/6二重欠損マウスでは有意に軽症化することを見出した。本年度、この原因を解明するためさらなる解析を進めた。まず、CCR6単独の欠損で重症化した実験的腸炎が、CCR2阻害剤を投与することで軽症化することを見出した。つまり、CCR2/6のシグナルが薬理学的に遮断されても腸炎が軽症化することが示された。一方、野生型マウスに腸炎を誘導すると、大腸粘膜固有層においてケモカインCCL7, CCL8, およびCCL20の発現が上昇し、CCR2シングル陽性Th17(CCR2+Th17)細胞、CCR6シングル陽性Th17(CCR6+Th17)細胞、およびCCR2/6ダブル陽性Th17(CCR2+/6+Th17)細胞が集積することを見出した。フローサイトメトリー解析によりCCR2+/6+Th17細胞は他のTh17サブセットに比べGM-CSFの産生能が高いことがわかった。興味深いことに、CCR2/6二重欠損マウスの大腸ではGM-CSFの発現レベルが有意に低下していた。従って、CCR2+/6+Th17細胞が腸炎増悪に寄与する炎症性Th17細胞であることが示唆された。この研究成果は学術論文として国際誌に公表した。 CCR6+Th17細胞が免疫寛容を担い、CCR2+/6+Th17細胞が炎症を惹起するという仮説を立てて、各Th17サブセットをセルソーターで分離し、遺伝子発現パターンを解析したり、細胞を腸炎モデルマウスに移入して病態変化を観察したりする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度は、CCR6欠損マウスで重症化する腸炎が、CCR2/6二重欠損マウスで軽症化する原因を解析したところ、実験的腸炎の誘導によって大腸粘膜固有層にGM-CSFを高発現するCCR2+/6+Th17細胞が集積していることと、CCR2/6二重欠損マウスの腸管組織でGM-CSFの発現が低下していることを明らかにした。このことから、CCR2+/6+Th17細胞が腸炎増悪に寄与する炎症性Th17細胞であることが示唆され、新たな炎症性Th17細胞の識別法の確立が期待される。これらの成果を学術論文として国際誌に公表できたことから当初の計画以上に進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
CCR6単独欠損マウスとCCR2/6二重欠損マウスの腸炎の表現型より、炎症性Th17細胞はCCR2+/6+Th17細胞で、免疫抑制性Th17細胞はCCR6+Th17細胞ではないかという着想を得た。今後、DSS腸炎を誘導したマウスの腸管粘膜固有層に集積したTh17細胞サブセットを回収して、マイクロアレイで遺伝子発現パターンを網羅的に解析し、各Th17サブセットに特徴的な遺伝子を同定する。Th17細胞をCCR2とCCR6の各発現パターンをもとにセルソーターでCCR2+/6+Th17細胞とCCR6+Th17細胞を分離回収しmRNAを抽出する。 さらに、上述の方法で回収した各Th17サブセットをレシピエントマウスに移入して腸炎やその他の臓器の炎症性疾患の病態に変化がみられるか観察する。例えば、CCR2+/6+Th17細胞を炎症モデルマウスに移入して、強い炎症を惹起できるのか検討したり、CCR6+Th17細胞を移入して病態を改善できるか検討する。 さらに、CCR6+Th17細胞特有の免疫抑制分子が見つかれば、その組換えタンパク質を炎症モデルマウスに投与して病態が改善できるのか検討する。最後に、研究成果を取りまとめ、学術論文に発表する。
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Causes of Carryover |
腸管組織のTh17サブセットの解析が順調に進んでいるため、経費を節約することができた。これは、大阪大学茂呂教授にご教示いただいたプロトコールにより、粘膜固有層から安定的にリンパ球を分離できるようになったことが経費の節約につながったと考えられる。尚、繰越金は請求した助成金と合わせ、主に消耗品および実験動物飼育管理費等として次年度に使用する予定である。
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[Journal Article] Involvement of clusterin expression in the refractory response of pancreatic cancer cells to a MEK inhibitor2023
Author(s)
Amada K, Hijiya N, Ikarimoto S, Yanagihara K, Hanada T, Hidano S, Kurogi S, Tsukamoto Y, Nakada C, Kinoshita K, Hirashita Y, Uchida T, Shin T, Yada K, Hirashita T, Kobayashi T, Murakami K, Inomata M, Shirao K, Aoki M, Takekawa M, Moriyama M.
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Journal Title
Cancer Science
Volume: Online ahead of print.
Pages: -
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Functional analysis of chemokine receptor CCR2 in a murine congenital toxoplasmosis model2022
Author(s)
Noganori Kamiyama, Nozomi Sachi, Sotaro Ozaka, Shimpei Ariki, Thanyakorn Chalalai, Yasuhiro Soga, Chiaki Fukuda, Yomei Kagoshima, Supanuch Ekronarongchai, Masahiro Yamamoto, Takashi Kobayashi
Organizer
第15回寄生虫感染免疫研究会
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