2021 Fiscal Year Research-status Report
腸管と脾臓のクロストーク~全身性疾患としての炎症性腸疾患~
Project/Area Number |
21K07986
|
Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
川島 一公 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (60792885)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松岡 克善 東邦大学, 医学部, 教授 (40307393)
大平 弘正 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (90274951)
鬼澤 道夫 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (30783352)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 炎症性腸疾患 / 脾臓 |
Outline of Annual Research Achievements |
本邦において患者数が増加しているクローン病(CD)の発症や増悪機序に、遺伝学的要因や環境要因が複雑に関与していると考えられている。特に腸管粘膜での過剰な免疫細胞の活性化により、様々なサイトカインがその発症に関与すると考えられている。これらの炎症物質が血管内に侵入し、腸管だけでなくその他の臓器にも影響を及ぼす可能性があると考え、特にリンパ組織が集合し、免疫と深く関与している脾臓に我々は注目した。脾腫は一般的に門脈圧亢進症、感染症、血液疾患と深く関連しているが、脾臓とIBDの関連は全く分かっていない。本検討ではIBD疾患が脾臓に及ぼす影響、特に脾臓体積に注目した。 2014年4月から2019年3月までの期間で30-60歳の健常人19人と当院外来ならびに入院患者UC24人、CD20人の身体的所見や採血データ、CT画像を集めた。Image Jソフトを用いて各郡の脾臓体積を定量的に測定し後方視的な解析を行った。各郡の患者背景(年齢、性別や体重)に有意差は認められなかった。しかしながら、脾臓体積は体重に依存することが分かっているため、体重で補正した脾臓体積(cm3/kg) について各郡で比較を行った。UCとコントロールでは有意な差は認められなかったが(p=0.43)、CDとコントロールとの比較で有意にCDの脾臓体積が大きかった(3.6±1.7 cm3/kg vs 2.2±1.0 cm3/kg, p=0.01)。さらにCDの炎症活動指数Crohn’s disease activity Index (CDAI)と有意な正の相関が認められた。CDの特異的な疾患活動が脾臓体積に影響を及ぼすことを示唆した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CDの疾患活動性が脾臓体積に影響を及ぼすことを明らかとした。今後さらなる免疫反応との関連メカニズムを明らかにするために、現在登録症例を集めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
前向き研究を行うことで、CDにおける疾患活動性・治療反応性と脾臓体積などの詳細な解析を行う。
|
Causes of Carryover |
後方視的なデータで初年度の解析が可能になったことにより、初年度保存した検体の解析を次年度繰り越したため。次年度は、一括して検体解析を行うため、試薬・備品等の費用が必要である。
|
Research Products
(1 results)