2022 Fiscal Year Research-status Report
十二指腸乳頭部癌マウスモデルの樹立と幹細胞ニッチ・起源細胞解明
Project/Area Number |
21K08000
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
早田 有希 東京大学, 医学部附属病院, 届出研究員 (60897883)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 勇人 三重大学, 医学系研究科, 教授 (00555609)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 胆管周囲付属腺 / 胆管幹細胞 / 十二指腸乳頭部癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでのマウスの細胞系譜解析を用いた検討から、十二指腸乳頭部の胆管周囲付属腺底部に存在するAxin2陽性細胞が、胆管上皮の幹細胞となると同時に十二指腸乳頭部癌の起源細胞となりうることを見出した。さらにISHによって、乳頭部付属腺の周囲に存在する平滑筋細胞がRspondin3を分泌し、乳頭部胆管付属腺に特異的なWnt活性化ニッチを形成している可能性が示唆された。ただし乳頭部外の総胆管においては胆管上皮にも所々に発現していた。細胞系譜解析を1年間の長期間で行ったところ、肝外胆管上皮のAxin2陽性細胞も増殖していたことから、乳頭部胆管周囲付属腺のAxin2陽性細胞が、胆管全体の上皮の恒常性維持にどこまで関与しているのかは不明瞭であった。胆管上皮の幹細胞および障害時の再生機構を明らかにするため、胆管周囲付属腺により特異的な細胞マーカーについて引き続き探索的検討を行った。候補の一つであるOlfm4は小腸において陰窩全体に限局して幅広く発現しており、小腸上皮の幹細胞であるLgr5陽性細胞も含まれていることが報告されている。我々のISHにおいても、Olfm4は乳頭部内外の胆管において胆管周囲付属腺に限局して強く広く発現していた。乳頭部内胆管においてはAxin2の発現パターンと同様に、平滑筋層に隣接する細胞に発現していたが、胆管周囲を取り囲む平滑筋層が存在しない肝外胆管では、Axin2の発現パターンとは明確に異なり、Olfm4は胆管周囲付属腺全体に発現していた。このことからOlfm4は胆管周囲付属腺を標識できる細胞マーカーとして考えられ、長らく存在を認めながらもその役割が不明であった胆管周囲付属腺の役割を明らかにするためにOlfm4のプロモーター下にCreERT2を組み込んだデザインのトランスジェニックマウス、ノックインマウスの作成に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肝外乳頭部外胆管の胆管周囲附属腺により特異的に発現している細胞マーカーを同定し、トランスジェニックマウス作成に移行している。概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
乳頭部マウスモデルの結果が、ヒトにも応用可能かどうかを臨床検体を用いて検証する。Olfm4陽性細胞特異的に遺伝子変異を誘導できるトランスジェニックマウス、ノックインマウスを作成し、細胞系譜解析を用いて正常時や細胞運命の追跡や、胆管障害時の再生機構についての解析を行う予定である。 また最近の検討からOlfm4が胃癌、結腸癌、小腸癌などの消化器癌発癌に重要な役割を果たしていることが報告されている。Olfm4の発現をこれまでに収集したヒト、マウスの乳頭部癌、肝外胆管癌サンプルを用いて組織学的検討を行っていく。
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Causes of Carryover |
世界的な物品の流通の停滞により、トランスジェニックマウス作成については、計画段階であった。次年度にトランスジェニックマウス作成に次年度使用額を使用する予定である。
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