2023 Fiscal Year Annual Research Report
Potential for targeted therapy of eIF2, a PKR-related molecule involved in carcinogenesis and progression of hepatocellular carcinoma.
| Project/Area Number |
21K08008
|
|---|
| Research Institution | Ehime University |
|---|
Principal Investigator |
日浅 陽一 愛媛大学, 医学系研究科, 教授 (70314961)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
| Keywords | Protein kinase R / eIF2 / eIF2-alpha / eIF2-beta / eIF2-gamma / Hepatocellular carcinoma / Tumor proliferation / Apoptosis |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
申請者はこれまでに肝細胞がんにおいて、Protein kinase R (PKR)の高発現が発がんに関与することを示した。しかし、PKRの下流に存在し、RNAの翻訳に作用するeIF2αは、PKRによりリン酸化されて、RNA翻訳機能が阻害されることが知られており、そのことはがんの増殖に必要不可欠な蛋白合成を阻害するため、腫瘍増殖にとって不利に働くことが予想される。本研究では、PKR-eIF2αをつなぐ固有の環境が肝細胞がんには存在すると想定し、肝細胞がん増殖に関わるPKRとeIF2の相互作用を明らかにすることを研究の目的とした。
まず、肝細胞がん症例において、翻訳開始因子であるeIF2の高発現症例を抽出し、低発現症例と比較したところ、予後不良であることを明らかにした。またsiRNAを用いてeIF2をノックダウンしたところ、肝細胞がんの増殖能が低下することを明らかにした。さらに、eIF2は3つのサブユニットで構成されているが、各サブユニットにおける肝細胞がんへの影響を検討した。siRNAで各サブユニットをノックダウンした結果、いずれも肝細胞がんの増殖能は低下した。しかし、eIF2のサブユニット間で肝細胞がんに与える影響に差がみられ、翻訳抑制やアポトーシスと関連しているとされるeIF2αと比較して、未だその機能が明らかにされていないeIF2β、eIF2γの発現変化が肝細胞がんの進展に及ぼす影響が強くみられた。
本研究の結果から、PKR-eIF2経路において肝細胞がんの治療標的として、eIF2のサブユニットの中で、eIF2βとeIF2γの制御が新規治療につながる可能性があると考えられる。
|
