2023 Fiscal Year Annual Research Report
パネート細胞の性状変化は炎症性腸疾患の起点となるか?―幼弱パネート細胞との関連
Project/Area Number |
21K08017
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
馬場 良子 産業医科大学, 医学部, 准教授 (90271436)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森本 景之 産業医科大学, 医学部, 教授 (30335806)
國分 啓司 産業医科大学, 医学部, 助教 (00432740)
中村 健太 産業医科大学, 医学部, 非常勤医師 (60789692)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 回腸 / パネート細胞 / オルガノイド / DSS腸炎モデルマウス / TNF-α |
Outline of Annual Research Achievements |
炎症性腸疾患でパネート細胞の異所性出現および異常が生じることが知られている。また、パネート細胞の異常と腸炎発症やクローン病再燃との関連が報告される等、パネート細胞の性状が疾患の起点となる可能性が示唆されている。私達はこれまでに、発達段階のパネート細胞特異的にエピジェネティックな変化が生じ、その前後で形態的特徴が変化すること、未熟なパネート細胞の形態が疾患時と類似することを発見した。そこで、発達段階と疾患時のパネート細胞との形態的共通性、エピジェネティック制御の関与を解明する目的で本研究を計画した。パネート細胞の成熟に関わる機構を明らかにすることで、炎症性腸疾患発症の機序解明にも繋がると考える。 昨年度、デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)腸炎モデルマウスの形態学的解析を行った結果、回腸を含む小腸の形態に顕著な障害は見られなかった。しかし、炎症期回腸陰窩が拡張し、分泌系細胞の分化に差異が見られた。これらの結果は昨年度、学会にて発表を行っている。今年度、DSS腸炎モデルマウス回腸上皮におけるヒストンメチル化を解析した結果、炎症期パネート細胞のH3K27me3免疫陽性反応が減少しており、炎症回復期においては免疫陽性反応が回復傾向にあった。また、炎症性サイトカインにより炎症を模倣したオルガノイドの形態解析を行った結果、DSS腸炎の回腸上皮と形態が類似することが分かった。これらの結果は今年度、学会発表を行っている。 生後の発達過程でパネート細胞が成熟する時期とH3K27me3強陽性を示す核が出現する時期が一致し、未熟なパネート細胞にH3K27のトリメチル化は生じていないことが分かった(論文発表済)。一方、炎症期回腸のパネート細胞にH3K27me3陽性を示すものは少なく、成熟度が低い可能性が考えられ、未熟な状態を維持しているか、成熟に要する時間が延長している可能性があることが示唆される。
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Research Products
(9 results)