Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,全国多施設で急性心筋炎のレジストリを構築し,病理学的に診断された急性心筋炎症例において,わが国での診療現状を検証し,初期診断に有用な生体マーカーを探索し,将来的な早期診断キット開発の基盤とすること,急性期管理における適切な管理法や機械的循環補助の移行基準,エビデンスを確立することを目的とする。 前向き観察研究においては,本年度は,生命倫理委員会へ臨床研究実施の申請を行い,REDCapによるEDCシステムを構築した。現在までに,33症例の登録が行われ,血液検体,尿検体,心筋検体を収集した。併せて,SARS-CoV2感染およびCOVID-19ワクチン関連情報も収集した。 後向き観察研究では,経皮的補助循環を必要とした劇症型心筋炎216例を解析した。61例はIABPもしくはImpellaで補助され,155例はECMO補助を要した。組織学的分類では,107例がリンパ球性であり,34例が好酸球性,4例が巨細胞性であった。複合イベント(死亡,植込型補助人工心臓装着,心臓移植)回避率は,90日で66%,1年で62%,6年で57%であった。多変量解析では,ECMO補助は予後不良と有意に関連していた。好酸球性心筋炎は,リンパ球性心筋炎より良好な予後を示した。入院時の心室頻拍/心室細動,C反応性タンパク高値および心内膜心筋生検未施行は,不良な予後と関連していた。1年後の左室駆出率は,患者の16%で50%以下であり,好酸球性心筋炎の患者は,リンパ球性心筋炎よりも低値であった。
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