2021 Fiscal Year Research-status Report
心不全における腎交感神経求心路の役割:「腎→脳→心」の臓器連携機序の解明
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21K08032
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
篠原 啓介 九州大学, 大学病院, 特任助教 (30784491)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 心不全 / 臓器連関 / 腎障害 / 腎交感神経 / 神経体液性調節 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度の研究実施計画に基づき、腎交感神経求心路の心不全病態への寄与を検証した。 腎障害を伴う高血圧性心疾患による心不全モデルとして広く用いられているDahl食塩感受性ラットを用いた。Dahl食塩感受性ラットに高食塩負荷を行い、血圧上昇や心肥大を来している時期に、腎交感神経除神経を行った。腎交感神経除神経は、腎神経遠心路・求心路ともに除神経するtotal renal denervation (TRDN)、腎神経求心路を選択的に除神経するafferent renal denervation (ARDN)のいずれかを行い、対照としてsham手術(SHAM)を行った。 この高血圧性心不全モデルにおいて、血圧上昇(テールカフ法で評価)の推移はTRDN群、ARDN群、SHAM群の3群間に有意差を認めなかった。TRDN群とARDN群では、SHAM群と比較して左室収縮能の低下が抑制された(心エコーで評価)。Dahl食塩感受性ラットに低食塩食を与えた低食塩群(非心不全群)と比較し、SHAM群では肺重量が増加していたが、TRDN群とARDN群では有意な肺重量の増加はみられなかった。 以上の結果より、腎障害を伴う高血圧性心不全において、腎交感神経求心路が心不全病態に寄与することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験手技の確立など、十分な予備実験に基づいて研究を開始できたこともあり、おおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
「腎→脳→心」の連携に関わる交感神経系の脳内制御機構の解明を行っていく。具体的には、脳内の交感神経調節中枢の神経興奮や脳内レニン・アンジオテンシン系などの変化について調べる。これらの中枢神経系の評価は、これまでも我々が行ってきたものであり、順調に進捗が得られるものと考えられる。
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Research Products
(1 results)