2021 Fiscal Year Research-status Report
70万人、43年の大規模健診データによる心血管病発症AI予測モデルの構築と実装
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21K08034
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
川添 晋 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 特任講師 (00810201)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
窪薗 琢郎 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 講師 (00598013)
大石 充 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (50335345)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | AI / 予測モデル / 健診データ |
Outline of Annual Research Achievements |
超少子高齢化社会への突入と医療の高度化・高額化に伴い、わが国の医療財政は逼迫しており、疾患の予防および早期発見による医療費の抑制が急務となっている。疾患を予防するためにはリスク因子に関する理解が不可欠である。本研究では43年間にわたる70万人の健診データをもとにして、個人単位での疾患の早期発見・早期治療に役立つ心血管疾患発症予測の人工知能(AI)モデルを構築・実装する。健康寿命の延伸と医療費の抑制を実証し、世界に先駆けた新たな医療モデルを実現することを目的としている。 すでにデータアクセスに関する審査は承認済みである。データエラーやノイズ、欠損値に対するクレンジングを行い、既存の統計解析手法によるデータ傾向の調査や可視化を行っている。データの変換(正規化、汎化など)を実施し、AI解析の実施に耐えうるデータに整形を行っている。データより取得可能なアウトカムの候補についても協議を行っている。 上記作業は全て、医療専門家である我々と、機械学習アルゴリズムに精通した専門家である研究協力者のヒューマノーム研究所、瀬々潤氏、寺田愛花氏のチームと共同で進めている。コロナ禍の影響で対面での作業は行っていないが、ZOOM等の遠隔ツールを使用して頻回に協議を重ねている。 また、本研究で作成した予測モデルは垂水研究(鹿児島県垂水市を舞台とした多職種コホート研究)のコホートで検証する予定である。コロナ禍の影響で中断を余儀なくされていたが、こちらも2021年度から再開され、データの蓄積を再開している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データアクセスへの倫理的基準はクリアし、現在データクリーニング、データクレンジングを施行するところまで到達している。上記作業は人工知能エンジニアである瀬々潤氏と共同して行っており、折からのコロナ禍のため対面での作業はできていないが、ZOOM等の遠隔ツールを使用して定期的なディスカッションを行っている。医療専門家である我々と、機械学習エンジニアである瀬々氏のチームの双方向のやり取りを通じて、有益な情報交換がなされていると考えている。アウトカムの設定も進めており、現時点では高血圧、脂質異常症、糖尿病、腎機能障害、肥満、メタボリックシンドローム、心房細動、頸動脈エコー検査による頸動脈効硬化、脈波検査による動脈スティフネス上昇などを検討していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き瀬々氏の機械学習エンジニアチームと共同で作業を進めていく。データの変換を実施ししたものを実施に耐えうるデータに整形し、そのうえでAI解析を実施しする。リスク因子の年次変動を加味した変数の合成も進める。統計的に有意な相互因子を発見可能なLAMP(Limitless-Arity Multiple testing Procedure:無限次数多重検定法)[PNAS2013]を適用する。パラメータチューニングを行うことで予測精度を高める試みを行う。他の機械学習モデルを適用(ランダムフォレスト、SVM、ニューラルネットワーク等)し、結果の比較による予測精度の検証を行う。医学的な見地からの解釈を検討し、臨床的に実装可能な状態にしていく。 鹿児島県垂水市を舞台とした多職種コホート研究も遂行中であるが、本コホートを用いて結果の検証を行う予定にしている。個人単位での疾患発症リスクの把握や、より詳細な予防指導につなげることができ、予防医療の向上に寄与すると思われる。
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Causes of Carryover |
本研究のデータ処理、分析に特化したスタンドアウトのコンピュータを購入、設置する予定としているが、現時点ではまだ設置するに至っていない。現時点でのデータ処理は研究協力者であるヒューマノーム研究所の瀬々潤氏のもとで行われているものである。本年度中には前述のコンピュータを本学にも設置し、共同でAI予測モデルの作成と医学的な意義の検証を行っていく予定である。
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