2023 Fiscal Year Research-status Report
Cx45R75H変異疾患特異的iPS心筋細胞の性質に関する検討
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21K08040
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
西井 明子 (関明子) 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (80408608)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
羽山 恵美子 東京女子医科大学, 医学部, 非常勤講師 (00349698)
古谷 喜幸 東京女子医科大学, 医学部, 非常勤講師 (10424673)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | コネキシン45 / iPS細胞由来心筋細胞 / 電気生理学的性質 / ゲノム編集 |
Outline of Annual Research Achievements |
コネキシン45(Cx45)は、胎生期の心臓で最初に発現するCxである。出生後はその発現部位が刺激伝導系に限局し、構成するチャネルの単位電流は、心筋細胞に発現する別のCx、Cx43やCx40よりも小さく、その役割については不明な点が多く、遺伝子異常の報告もなかった。本研究の目的は、我々が最近発見した、家族性の心臓伝導障害と骨・歯牙異常を呈する家族で発見されたCx45R75H変異の機能を調べ、その病態機序を解明し、治療につなげることである。本年度は、昨年度までに樹立した患者3名と健常者複数のiPS細胞の品質評価を実施した。iPS細胞の証左である多分化能を検証するために、多分化能マーカーのOCT4, Tra1-60, SSEA4の発現を、これらのヒトiPS細胞コロニーについて、免疫蛍光染色法により検出したところ、いずれも強い発現がみられた。また、樹立iPS細胞を用いて、内胚葉、中胚葉、外胚葉への分化を試みたところ、内胚葉(FOXA2)、中胚葉(Brachyury)、外胚葉(PAX6)の各マーカータンパク質の発現を免疫蛍光染色により認めた。これらの結果は、樹立したiPS細胞が多分化能を有することを示した。 ゲノム編集法を用い、原因遺伝子を正常遺伝子に置換し、比較対照細胞(isogenic control)を作製するために、昨年までにコネキシン遺伝子の所定の位置でゲノムを切断するためのガイドになるgRNAと切断酵素であるCas9を発現するプラスミドコンストラクトを作成した。これを用いて、今年度までに、① 健常者iPS細胞のコネキシン45遺伝子のノックアウト(11塩基の欠損)iPS細胞、② 患者1名のiPS細胞からコネキシン45のR75H(G224A)変異を修復したiPS細胞を得た。 現在、残り2患者のiPS細胞のコネキシン45のG224A変異の修復を目指して、ゲノム編集実験を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予定していた患者と健常者のiPS細胞の品質評価とゲノム編集の一部の実験は実施することができた。しかしながら、今年度、大学の別棟に研究室が移動することとなり、培養系の実験をほぼ半年実施できなかったため、今年度中に予定していたゲノム編集実験やiPS心筋細胞の誘導などが大きく遅延した。そのため研究期間を1年間延長することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、原因遺伝子とされるコネキシン45の遺伝子変異を健常型に修復したコントロールiPS細胞の多分化能等の品質評価を実施する。コネキシン変異を持つ3名の患者のiPS細胞、ゲノム編集した健常型コントロールiPS細胞、健常者由来iPS細胞を心筋細胞へ誘導し、主にMED64システムを用いて、機能の違いを検討する。
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Research Products
(1 results)