2023 Fiscal Year Annual Research Report
食後代謝異常が造血幹細胞老化を誘導する際のヒストン脱メチル化酵素の役割
Project/Area Number |
21K08041
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
岩崎 真佳 関西医科大学, 医学部, 研究医員 (30548706)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 糖尿病 / 幹細胞老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに報告者は血糖値+中性脂肪値のスパイクがHSPCの転写制御の変化を誘導し造血幹細胞の老化を促進することを確認した。幹細胞の運命決定にヒストン修飾は重要な役割を果たし、一方で代謝の変化がヒストン修飾酵素に影響することが知られている。2021年度に報告者は1)血糖値+中性脂肪値のスパイクはH3K27me2/3を脱メチル化する酵素であるKdm6bの発現を特異的に増加させること、2)血糖値+中性脂肪値のスパイクによって誘導される「老化した造血幹細胞の表現型」の出現がKDM6阻害剤の投与によって抑制できることを報告した。 造血幹細胞の運命決定遺伝子はH3K27me3修飾を受け、発現を抑制されている。2021年度までの結果から、血糖値+中性脂肪値のスパイクはKDM6bを活性化させ、 HSPCから骨髄球系への分化を決定付ける転写因子であるSpi1とCebpaの転写を活性化させていることが強く示唆され、実際にRNAシークエンス解析のアップストリーム解析(転写因子)ではSpi1と Cebpaの有意な活性化が示されている。そこで2022年度はまずSpi1とCebpaの発現量を実際に確認したところ、興味深いことにSpi1とCebpaの発現量には有意な変化を認めなかった。このことからSPI1とCEBPaによらないSpi1とCebpaの下流の標的遺伝子群の活性化が起こっている可能性が示唆された。そこでKDM6bではなく更に上流の因子としてマイクロRNAに着目して検討を進めることとした。 骨髄細胞由来のLSK細胞分画(HSPC分画)についてマイクロRNAシークエンス解析を行い、RNAシークエンス解析の結果と合わせて解析を行ったところ血糖値+中性脂肪値のスパイクがKdm6bを標的とするマイクロRNAを制御していることがわかった。血糖値のみのスパイクはこのマイクロRNAの発現量に影響を与えない。
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