2021 Fiscal Year Annual Research Report
フィーダーフリーナイーブ型ヒトiPS細胞の樹立と成熟心筋分化への応用
Project/Area Number |
21K08049
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
國富 晃 京都大学, iPS細胞研究所, 特定研究員 (30570882)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | iPS細胞 / H1FOO / センダイウイルスベクター / ナイーブ型 / 原始内胚葉 / フィーダーフリー |
Outline of Annual Research Achievements |
人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cell: iPS細胞)は循環器領域においてはヒトiPS細胞から分化誘導した心筋を用いた様々な臨床応用が期待されている.しかし現状ではヒトiPS細胞の細胞株間での質のバラつきは大きく,心筋分化効率は低い上に得られる分化心筋は機能的に未成熟でその性質も極めて不均一であることが臨床応用における重大な障壁となっている. 我々は卵母細胞特異的に発現しているリンカーヒストンH1FOOをコードしている遺伝子であるH1FOOをOCT4,SOX2,KLF4と共に分化細胞に導入することで,高品質なマウスiPS細胞を高効率に作製する方法を開発した.この結果を基にヒトH1FOOを用いてマウスiPS細胞と同等の優れた多分化能を持つフィーダーフリーのナイーブ型ヒトiPS細胞を体細胞から効率良く樹立し,より成熟した心筋細胞への高効率な分化を実現することを目的として研究を開始した. 我々は新たなセンダイウイルスベクターを用いてOCT4,SOX2,KLF4,LMYC,H1FOOをヒト皮膚線維芽細胞または末梢血単核球に一過性に強制発現させることにより,オンフィーダーの環境下で僅か1ヶ月程度でウイルスゲノムが消失したナイーブ型ヒトiPS細胞を安定的に得る方法を開発した.本法で樹立したiPS細胞は外来遺伝子が消失しているため,直ちに細胞の機能解析や分化誘導などを行うことが可能である.実際に原始内胚葉細胞分化専用培地で分化誘導を行ったところ,全く分化しないプライム型とは異なり原始内胚葉細胞に高頻度で分化することが確認された.またさらに細胞培養基質にMatrigelを用いることで,ヒト皮膚線維芽細胞からフィーダーフリーの環境下でもナイーブ型ヒトiPS細胞を樹立することに成功した.
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