2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K08052
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
三好 亨 岡山大学, 大学病院, 講師 (70444651)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 一文 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (10335630)
米澤 朋子 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (30304299)
片野坂 友紀 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (60432639)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 大動脈解離 / メカノバイオロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
胸部大動脈解離は大動脈中膜が突然破断する疾患であるが、その病態はほとんど解明されていないため、発症予測や進行阻止は困難である。我々は、これまでの研究で大動脈瘤・解離の進展にインテグリンや接着因子が関与することを報告してきた。一方で、血管壁にかかるずり応力や伸展刺激などのメカニカルストレスが大動脈解離に重要であることが示唆されている。メカノセンサーは、血管のメカニカルストレスに応答し、血管の恒常性に寄与していることが分かっている。現在知られているメカのセンサーの中で、大動脈平滑筋での発現が確認されているメカノセンサーTRPV2 (transient receptor potential vanilloid 2)が重要な役割を担うのではないかと考え本実験を開始した。つまり、本研究の目的は、ヒト胸部大動脈解離組織およびマウス胸部大動脈解離モデルの両方からTRPV2の分子動態について検討し、大動脈解離におけるメカノバイオロジー機構を解明することである。 本研究では、マウス大動脈解離は、C57BL/6マウスにlysyl oxidase 阻害薬とアンジオテンシンIIを同時に、2週間浸透圧ポンプで皮下投与し作成することとした。結果であるが、コントロールマウスでの大動脈解離の発生率は約80%と高率であった。しかし、血管平滑筋におけるTRPV2の発現が欠損したマウスでは、コントロールマウスに比べて大動脈解離の発現頻度が低いことが分かった。また、大動脈破裂を起こす頻度も、血管平滑筋におけるTRPV2の発現が欠損したマウスでは、コントロールマウスに比べて低かった。また、組織における遺伝子発現を検討したところ、TRPV2の発現が欠損したマウスでは、炎症や細胞外マトリックス分解に関連する遺伝子発現がコントロールマウスに比較して低下していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスを用いた実験は順調に進行しており、今後細胞を用いた検討予定であり、順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、血管平滑筋におけるTRPV2の発現が欠損したマウスとコントロールマウスの大動脈より分離培養した血管平滑筋を用いて、TRPV2を介した酸化ストレス・炎症・アポトーシス関連の分子メカニズムを検討する。まずストレッチチャンバーで細胞を培養し、伸展刺激を行う。TRPV2の有無が血管平滑筋細胞における伸展刺激によるストレス応答にどのような違いを引き起こすかを、酸化ストレス・炎症・アポトーシス関連のシグナルについて検討する。さらに、伸展刺激下にアンジオテンシンIIを添加し、同様の検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
物品等を節約できたため次年度使用額が生じた。 使用計画としては次年度実施計画予定の細胞実験に必要な費用に充当する。
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Research Products
(6 results)