2021 Fiscal Year Research-status Report
多次元質量分析による大動脈疾患のメタボロームバイオマーカー解析
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21K08086
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
冨田 翔大 自治医科大学, 医学部, 助教 (60784288)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相澤 健一 自治医科大学, 医学部, 准教授 (70436484)
澤城 大悟 自治医科大学, 医学部, 講師 (40456132)
木村 夏花 自治医科大学, 医学部, リサーチ・レジデント (90884453)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 大動脈解離 / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
Myh11リジン残基1256を欠損したマウスを樹立し、Myh11変異マウスはヒトの家族性大動脈瘤・解離をミミックすることを明らかにした。 続いて、Myh11変異マウスのメタボロームとトランスクリプトームの解析を行い、大動脈解離のバイオマーカー候補となる代謝物の同定を試みた。まず、RNA seqから得られたトランスクリプトームデータのパスウェイ解析を行った。Myh11 K1256ホモ欠損型マウスとヘテロ欠損型マウスに共通して22のパスウェイが減少していることを突き止めた。さらに、そのうち19は膜タンパクに関連するパスウェイであった。さらに、メタボローム解析を行ったところ、トランスクリプトーム解析で同定したパスウェイを支持する結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大動脈モデルマウスを樹立し、血液のメタボローム解析をパイロットで行った。これは、計画通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、樹立したMyh11リジン残基1256欠損マウスの大動脈や血液サンプルからトランスクリプトームとメタボロームのマルチオミックス解析を行い、バイオマーカー候補を絞り込み、ヒトの血液検体で絞り込んだバイオマーカーの評価を行う。 1. アンギオテンシンII持続投与受け、大動脈解離を発症した群と発症しなかった群の末梢血中の炎症性サイトカイン、炎症メディエーターなどの因子やメタボロームの発現量を比べることによって、単に溶媒投与をした対照群と比較するよりもより大動脈解離や大動脈瘤の発症に深く関わっている因子を特定する。採血は開始から3日目、7日目、10日目、14日目に行い、同時に超音波を用いて大動脈径も測定する。大動脈組織にはトランスクリプトームとメタボロームのマルチオミックス解析も行う。バイオマーカー濃度、大動脈径、そして時間経過の3次元での解析を行う。アンギオテンシン持続投与開始後3日目に、バイオマーカー候補因子の血中濃度上昇を確認した個体に、申請者が先行研究で大動脈解離抑制に効果があると明らかにしたインドメタシンを投与する。大動脈径拡張など病態の改善とバイオマーカー候補因子の血中濃度の相関を調べることで評価をする。相関が低い候補因子はヒト検体を使った実験には使用しない。 2. 先行研究で収集した大動脈解離や大動脈瘤の症例の血液サンプルを用いて、1.で絞り込んだバイオマーカー候補を実測し、その有効性を実証する。具体的には臨床情報として得られる、大動脈径や予後のデータと照らし合わせてバイオマーカーと大動脈解離・瘤の重症度の相関を検証する。サンプル残量が十分確保されている場合には、ヒト症例サンプルを用いて探索的に質量分析を行うことも検討されるが、量が限られた貴重なサンプルであるため、出来る限りモデルマウスを使った実験で候補となる因子を絞り込んでから行う。
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Causes of Carryover |
本年度は前年度に行った実験の解析を行ったため、研究費は使用しなかった。次年度はマウスの飼育、実験試薬、論文投稿費用に使用する。
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