2022 Fiscal Year Research-status Report
Rho-kinase活性に着目した微小血管狭心症の新規治療法及び治療戦略の確立
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21K08096
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
白戸 崇 東北大学, 大学病院, 特任准教授 (40647567)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 潤 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (00375081)
佐藤 公雄 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 准教授 (80436120)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 微小血管狭心症 |
Outline of Annual Research Achievements |
心表面冠動脈に動脈硬化による器質的狭窄あるいは冠動脈攣縮を認めないものの、狭心症症状を有する症例は微小血管狭心症と診断される。微小血管狭心症では硝酸薬が有効な症例は50%以下でカルシウム拮抗薬に治療抵抗性の症例がまれでなく、未だ有効な治療法が確立されていないことから、患者のQOL低下と医療費増大は循環器診療における課題である。微小血管狭心症の病態機序として冠微小循環障害が提唱されており、その病態機序はRho-kinase活性化を介した内皮機能障害、平滑筋過収縮の関与が想定されている。 本基盤研究では、狭心症症状を有し待機的心臓カテーテル検査目的で東北大学病院に入院する研究対象者について、Rho-kinase経路の修飾候補薬であるスタチン、メトホルミンの投与前後で、Rho-kinase活性、冠微小血管障害の指標(CFR・IMR)、血中バイオマーカー、シアトル狭心症質問票による自覚症状の推移を収集し、それらの関連を多面的に検討することで、Rho-kinase活性に立脚した微小血管狭心症の新規治療戦略を確立することを当初の目的としていたが、研究分担者の高橋潤が代表を務めるAMED研究「非閉塞性冠動脈疾患患者における冠動脈機能の性差に関する研究開発」を開始されたため、研究対象者が重複することとなり、本基盤研究で実施を予定していたRho-kinase経路の修飾候補薬による介入は、AMED研究の追跡調査終了後まで困難な状況となった。代替案として令和3年度はAMED研究に登録された微小血管狭心症患者のデータを収集するとともに、2016年から2019年に東北大学病院において微小血管狭心症と診断された172名について、心臓カテーテル検査実施時のスタチン・メトホルミンの内服状況とCFR・IMRの値を収集した。令和4年度は引き続きAMED研究に登録された微小血管狭心症患者のデータを取得した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究分担者である高橋潤が研究代表者を務めるAMED研究「非閉塞性冠動脈疾患患者における冠動脈機能の性差に関する研究開発」が令和3年度から3年間実施されることとなった。本基盤研究の対象である「微小血管狭心症」は、AMED研究の対象である「非閉塞性冠動脈疾患」に含まれることから、当初想定していた研究対象者はAMED研究に優先的に登録することとなった。AMED研究では研究登録後1年の予後追跡を行うため、本基盤研究で実施を予定していたRho-kinase経路の修飾候補薬による介入は困難な状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
前述のAMED研究における微小血管狭心症患者、及びAMED研究が開始される以前に東北大学病院において微小血管狭心症と診断された症例について、心臓カテーテル検査実施時のスタチン・メトホルミンの内服状況とCFR・IMRの値を収集し、その関連を統計学的に検討する。
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Causes of Carryover |
研究分担者である高橋潤が研究代表者を務めるAMED研究「非閉塞性冠動脈疾患患者における冠動脈機能の性差に関する研究開発」が令和3年度から3年間実施されることとなり、本基盤研究の対象である「微小血管狭心症」は、AMED研究の対象である「非閉塞性冠動脈疾患」に含まれることから、当初想定していた研究対象者はAMED研究に優先的に登録することとなった。AMED研究では研究登録後1年の予後追跡を行うため、本基盤研究で実施を予定していたRho-kinase経路の修飾候補薬による介入は、追跡調査終了後まで困難な状況となり、支出額が当初予定よりも少なくなった。次年度は最終年度であり、介入研究を実施することは時間的に困難であることから、前述のAMED研究における微小血管狭心症患者のデータ及び2016年から2019年に東北大学病院において微小血管狭心症と診断された患者のデータを統合解析するための経費及び成果発表のための経費として使用する。未使用分に関しては返還予定である。
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