2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K08097
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
矢尾板 信裕 東北大学, 大学病院, 助教 (00735368)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 肺高血圧症 / エクソーム / メタボローム |
Outline of Annual Research Achievements |
当科で構築した肺高血圧症データベースを解析した所、肺高血圧症の予後規定因子として60歳以上(HR2.03(0.97-4.35)、WHO Functional class III-IV(HR2.44(1.42-4.24))、右室拡張末期圧(HR1.06(1.0-1.12))が予後規定因子であることがわかった。そこで、右室拡張末期圧10mmHg以上を1点、60歳以上を2点、WHO Functional ClassIII、IVを3点として、エクソーム解析を施行した96名の肺高血圧症患者のリスク分類を行った。その結果、6点は1人、5点が4人、3-4点が12人、0-2点が82名に分かれた。そこで、予後不良因子が3点以上の患者と0-2点の患者に分けてエクソームのVariantの差がないかどうか検討した。その結果、PH患者全体で32005のVariantを見出し、その中で予後不良と予測される患者と予後が良好と予測される患者で有意に保有頻度に差があったVariant 46個を同定することができた。 一方、エクソーム解析を施行した肺高血圧症患者の中で17名、および肺高血圧症を認めなかった15名の血漿検体でメタボローム解析を行った。その結果、肺高血圧症の治療対象となる経路プロスタグランジンI2経路の代謝やエストロゲンに関与する代謝経路が非肺高血圧症患者に比較して肺高血圧症患者で特に変化していることがわかった。さらに、予後不良と思われる平均肺動脈圧が高い患者で特に顕著である傾向を認めたが、対象患者が少ないこともあり、予後不良因子の数では解析できなかった。今後はメタボロームの解析数を増やし、予後不良因子の有無にてこれらの代謝経路に有意差がでないか検討する。さらに、それらの代謝経路に関与するエクソームのVariantがあるか検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肺高血圧症の予後不良因子の有無により保有頻度に差があるvariantが肺高血圧所患者で存在することがわかった。しかし、その数が多いため、ターゲットを絞る必要ある。そのため、メタボロームを17例と小数例ではあるものの、エクソーム解析を施行した患者と同一の肺高血圧症患者でメタボローム解析を施行できた。メタボローム解析をより詳しく解析することで、エクソームで認められたVariantと関連があるかどうか検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
メタボロームの解析を少なくともあと18名を施行し、全部で35名の肺高血圧症患者で施行したい。予後予測因子の有無にてある程度差が認められるように、予後不良と予測された患者を中心にメタボロームを追加していく。代謝経路から、それに関わる分子のVariantを見つけることが容易となると考えられる。Variantの同定が終了したら、その細胞機能を明らかにするために肺動脈平滑筋細胞にTransfectionして、観察する。
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Causes of Carryover |
メタボローム解析の患者数を増やすために、助成金を繰り越した。また、候補遺伝子が絞られておらず、Vitroの実験が進行していないため繰り越した。しかしながら、今年度は候補遺伝子が絞られる見込みで、Vitroの実験も進めることができると考えている。
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