2021 Fiscal Year Research-status Report
Role and Mechanism of a novel E3 ligase ARIH2 in Cardiovascular Disease
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21K08114
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
高橋 将文 自治医科大学, 医学部, 教授 (40296108)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 貴由 自治医科大学, 医学部, 講師 (80436485)
唐澤 直義 自治医科大学, 医学部, 講師 (60631893)
駒田 敬則 自治医科大学, 医学部, 講師 (90824730)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | サイトカイン / 炎症反応 / 心血管疾患 / プロテアソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
インフラマソームは強力な炎症性サイトカインであるIL-1β産生を制御する自然炎症経路の一つであり、心血管疾患の病態に共通する無菌性炎症の惹起に寄与する細胞内分子複合体である。申請者はこれまで、心血管疾患におけるインフラマソームの重要性を報告し、その制御機構の解明が新たな治療法の開発に繋がることを明らかにしてきた。申請者らが同定したE3リガーゼであるARIH2の役割を明らかにするため、マクロファージ特異的ARIH2欠損マウス(全身欠損は胎生致死)とドキシサイクリン誘導性ARIH2発現マクロファージを作製して解析し、ARIH2の欠損によりインフラマソームのセンサー分子であるNLRP3の発現が増加すること、LPSおよびインフラマソーム活性化刺激によってIL-1β産生が増加することを明らかにした。また、E3リガーゼであるARIH2は、オートファジーではなく、プロテアソーム系を介してNLRP3を分解することが示唆された。一方、TR-TUBE法と質量分析を用いて、ARIH2によりユビキチン化される新規標的分子(基質)の探索を行い、分子複合体であるメチロソーム(Methylosome)を構成するPRMT5とMEP50を新規基質の候補として同定した。しかし、それぞれの抗体を用いた免疫沈降法では、ARIH2がPRMT5あるいはMEP50に結合することを検証することはできなかった。また、インフラマソームの病態での解析として、慢性腎臓病やリンの過剰摂取で形成されるリン酸カルシウムのコロイド粒子(CPP)が、マクロファージによって貪食され、リソソーム傷害とカリウム流出を介してIL-1β産生と細胞死を誘導して炎症を惹起することを報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ARIH2によるNLRP3インフラマソーム活性化の亢進が示され、ARIH2によるNLRP3の分解機序についても明らかにすることができた。また、インフラマソームの病態での役割についても報告することができたことから、現在の進捗状況はおおむね順調と判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
ARIH2によるインフラマソーム制御による病態で役割を明らかにするため、マクロファージ特異的ARIH2欠損マウスを用いて、様々な病態モデルを作成して解析を行う。また、インフラマソームの病態での役割については、難病であるクリオピリン周期熱症候群(Cryopyrin-associated periodic syndrome)の温度感受性機構の解析や、2本鎖DNA(dsDNA)を認識して炎症や細胞死を惹起するAIM2インフラマソームの解析を進めて行く予定である。この準備として、AIM2全身欠損マウスとマクロファージ特異的AIM2欠損マウスを作成した。以上の検討により、ARIH2およびインフラマソームによる炎症・細胞死の惹起機構の解明を目指す。
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Causes of Carryover |
コロナ感染蔓延や社会状況の影響により、実験に必要な資材の入手が困難になり、研究計画の立て直しや研究停滞が生じた。次年度は変更した研究活動を実施するため、試薬購入などに使用する予定である。
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