2021 Fiscal Year Research-status Report
末梢血遺伝子発現解析による心房細動器質予測法の開発
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21K08125
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
加藤 武史 金沢大学, 附属病院, 助教 (90456418)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 心房細動 |
Outline of Annual Research Achievements |
心房細動は臨床で遭遇する最も頻度の高い持続性不整脈であり、高齢化社会の到来とともに、その患者数は2025年には100万人を超えることが予測されている。心房細動患者に対する薬物による洞調律維持治療には限界があり、近年は新たな治療法としてカテーテルアブレーションが急速に広まっている。これは、高周波カテーテル、または冷凍バルーン等を用いて、心房細動のトリガーの発生部位である肺静脈を、左房と電気的に隔離することを基本とした治療法である。しかし、そのアブレーション治療後の非再発率は発作性心房細動で70%程度、持続性心房細動では50%程度にとどまっているのが現状である。再発の原因としては、不十分な焼灼による肺静脈―左房間の電導再開に加えて、患者によっては肺静脈以外にも心房細動のトリガーや基質が存在することが考えられる。したがって、心房細動に対する治療の質の向上のためには、個々の患者によって異なる心房の不整脈器質を正しく評価し、それに対応した治療戦略を立てる、一種の個別化医療が必要と考えられる。心房細動は全身の臓器との連関によりその器質(イオンチャネルの変化や線維化)を形成しており、末梢血がそのメディエータとして役割を果たしていることを、申請者らはこれまでに報告している。したがって、末梢血遺伝子発現の解析により心房細動の器質を予測し、治療法を最適化しうる可能性が考えられる。本研究では、カテーテルアブレーションを施行する心房細動患者の末梢血遺伝子発現を解析し、実際に心房で超高密度マッピングシステムを用いて客観的に評価した心房細動器質やアブレーション後の非再発率との関連を明らかにする。2021年度には、超高密度マッピングシステムを実際の心房細動患者に用いて心房異常電位を検出し、心房細動基質の定量的な評価が可能であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超高密度マッピングシステムを実際の心房細動患者に用いて心房異常電位を検出し、心房細動基質の定量的な評価が可能であることを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き症例登録を進め、電気生理学的な心房細動基質と、血清学的バイオマーカの関連性を検討する。
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Causes of Carryover |
検査を一括で行い効率性を高めるために、血清学的バイオマーカーの測定を次年度に行うこととした。次年度は測定のための試薬や外注検査の費用に充てる予定である。
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Research Products
(1 results)