2021 Fiscal Year Research-status Report
Clinical significance of RV regional dysfunction in pulmonary hypertension
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21K08137
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
村田 光繁 東海大学, 医学部, 教授 (30317135)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 右室機能 / 局所壁運動異常 / 肺高血圧 |
Outline of Annual Research Achievements |
右室機能は、様々な心疾患において独立した予後規定因子であることが報告され注目されている。肺高血圧症においても、右室後負荷増大に伴い右室機能障害をきたし、右室機能が肺高血圧症の予後規定因子の一つであることが知られている。しかし、右室機能障害の機序、発症様式および臨床的に有用な評価方法についてはほとんど明らかになっていない。最近、我々は3次元wall motion tracking法を用いて、慢性血栓塞栓性肺高血圧(CTEPH)患者の3次元的な壁運動解析を行い、右室流入路壁運動は保持されている一方で、心尖部や流出路機能が低下している患者が存在することを報告した。本年は、特に肺動脈性肺高血圧症(PAH)における右室局所機能障害を中心に検討を行った。PAHにおいてもCTEPHと同様に、右室流入路と右室流出路における機能障害に差があることが明らかとなった。特に、右室流入路は平均肺動脈圧や肺血管抵抗等の血行動態と有意な相関を認めたが、右室流出路機能は相関を認めなかった。一方で、右室流出路機能は全死亡と心不全入院等の予後と有意に相関したが、右室流入路機能は相関を認めなかった。以上より、右室局所の機能は部位によって臨床的な意義が異なる可能性が示唆され、右室局所機能を評価することにより治療法の選択や予後予測が可能となると考えられた。右室局所機能評価は従来の右室機能評価と比較し、より詳細で強力な指標として有用と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた肺動脈性肺高血圧の臨床データを解析することができた。結果、これまで慢性血栓塞栓性肺高血圧症で得られたデータと矛盾しないものであり、右室局所機能障害は肺高血圧症全般に見られる所見である可能性が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、左心性疾患に伴 う肺高血圧(第2群)に局所右室機能障害が発症するか否かを3次元wall motion tracking法を用いて明らかにする。具体的には、右室を流入部、心尖部、流出路に分 類し、それぞれの面積変化率(エリアストレイン)、2次元ストレイン(長軸方向、円周方向 など)及び右室容積や右室駆出率等を治療前、治療直後、治療半年後に解析する。さらに、 これらの指標と予後(死亡、心不全等のイベント)や運動耐容能との関連を検討する。さらに、これらの臨床データを肺高血圧ラットモデルで検証する。
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Causes of Carryover |
COVID19パンデミックにより学会参加や出張が大幅に制限されたため、旅費が削減された。 次年度は、COVID19感染が収束した場合、旅費の増加が見込まれる。また、基礎研究を実施することによる物品費の支出が増加することが見込まれる。
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