2023 Fiscal Year Annual Research Report
心筋脱分化を特異的に誘導する新規転写因子の機能解析
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21K08144
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
小川 真仁 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 上級研究員 (00898009)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 心筋再生 / 心筋細胞脱分化 / ゼブラフィッシュ / 心筋細胞増殖 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はこれまでの研究により同定されたゼブラフィッシュ(ゼブラ)心臓で心筋細胞脱分化を特異的に誘導可能な新規転写因子の機能解析を行う事を目的とする。この恒常的活性型に改変したこの転写因子を過剰発現させると心筋のほぼ全域に強力な心筋脱分化を誘導する。このモデルを用いて心筋細胞の脱分化誘導機構を明らかにする。 本年度は主にこの脱分化誘導の分子機構を理解するための解析を行った。この過剰発現した心臓におけるRNA-seqを行った結果、この心臓は予想された通り心筋分化遺伝子の発現減少と代謝変動が引き起こされている事がわかった。またこれから新たな脱分化誘導機構が関連していることを示唆する結果も得られた。現在この遺伝子変化がどのように引き起こされるかを明らかにするため標的遺伝子とヒストンChIP-seqおよびATAC-seqを解析中である。これにより脱分化誘導機能のメカニズムが明らかになる事を期待している。個々の心筋細胞レベルでの遺伝子発現変動と脱分化誘導を関連させるため、単一細胞RNA-seq解析を行い、過剰発現が誘導された心臓ではその多くの心筋細胞が成熟心筋細胞クラスターから心筋脱分化を示すクラスターへの移行が見られた。これにおける特徴的な遺伝子発現変動も示す事により成熟心筋細胞から脱分化するまでの過程を明らかにする事が出来た。 また本研究で作製してきた心筋特異的に標的転写因子の機能阻害することが可能な遺伝子改変系統(cKO)のゼブラ作製を行い、心臓再生におけるこの遺伝子の機能も解析した。これにおいてcKOによる機能抑制により心筋傷害誘導後の心筋脱分化進展を抑制する事が出来た。更なる解析においてこのcKOゼブラ心臓は再生不全になることが明らかとなった。これにより心筋脱分化は心臓再生の達成に重要な現象である事がわかった。どのような機構で再生不全を誘導しているかは今後の研究で明らかにする。
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