2021 Fiscal Year Research-status Report
ヒアルロン酸環境変化に伴う炎症性肺疾患難治化メカニズムと標的治療薬の検討
Project/Area Number |
21K08150
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
際本 拓未 筑波大学, 医学医療系, 講師 (80724773)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | HAS2 / 小胞体ストレス / IL-17 / COPD / 喘息 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、HAS2及びその生成物である高分子量ヒアルロン酸(HMW-HA)の異常が小胞体ストレス応答異常やTreg/Th17不均衡によりIL-17優位の病態を形成することで喘息やCOPDといった炎症性肺疾患の重症化・難治化病態および全身合併症を形成するメカニズムを、Has2+/-マウスを用いて解明することである。HAS2遺伝子は既に日本人の喘息感受性遺伝子として同定されており、疾患動物モデルで検証・病態を解明した成果により、HAS2異常を介した喘息発症・難治化の病態解明に貢献しうることが期待される。 計画初年度の2021年は、当初の計画通り、1) HAS2機能異常喘息病態における小胞体ストレス応答機能異常の有無。 2) HAS2機能異常喘息病態における治療抵抗性および抗IL-17抗体治療感受性の有無。の検証を行った。その結果、qRT-PCRでの検証により、Hsp40やHsp70といった小胞体ストレス応答に関連した分子がHas2+/-マウス群で有意に抑制されていること。Has2+/-マウス群ではOVA刺激で誘発された好酸球性気道炎症がより重篤化し、かつステロイド治療抵抗性であること。さらに、ステロイドと抗IL-17抗体の併用療法が有効であったことを見出した。これらの成果については先行研究と併せ論文発表を行った。一方で、RNA-seq解析で示唆されたTregの発現を抑制の有無についてはフローサイトメトリーでは十分な検証成果を得られなかったため、エラスターゼ投与モデル等別モデルで検証を行う。COPDモデルについては現在検体を集積している状況である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画初年度については、研究計画立案時の内容を実施できており、かつ、先行研究と併せた成果報告については論文化していることから、概ね順調に推移しているものと判断した(Front Immunol. 2022 Jan 7;12:770305. doi: 10.3389/fimmu.2021.770305.)。
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Strategy for Future Research Activity |
計画2年目である2022年度は、2021年度の成果を踏まえ、まず、エラスターゼによる肺気腫モデルでのHAS2機能異常が病態に及ぼす影響については可能であればRNA-seq解析を用いて実施し、急性好酸球性気道炎症病態や気道リモデリング病態との病態の相関性を検証する。可能であれば、エラスターゼモデル中の適切なタイムポイントを抽出し、小胞体ストレス応答等の異常の有無を抽出する。また、マウスモデルで抽出された共通経路があれば、先行研究で使用された臨床研究データをもとにサブ解析を試みる。
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Causes of Carryover |
前年度の研究については大部分が、共通試薬等で対応できたこと。コロナ禍で、当初計画していた成果報告等の学会発表の旅費の使用機会がなくなったことにより余剰を生じた。研究自体は計画通り遅滞なく進んでおり、RNA seq解析等の解析、実験動物維持等で2022年度は計画通り予算を使用し研究計画を遂行する見込みである。
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