2021 Fiscal Year Research-status Report
T細胞性免疫調整薬によるがんおよび抗ウイルス免疫療法の開発
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21K08153
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岩堀 幸太 大阪大学, 医学系研究科, 特任講師(常勤) (80566448)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | がん免疫療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
二重特異性分子(Bispecific T cell engager、BiTE)を用いてT細胞とがん細胞株を共培養することにより、T細胞のがん細胞傷害活性の測定系を構築した。この測定系を用いて健常人末梢血T細胞のがん細胞傷害活性を測定した結果、複数のテトラサイクリン系化合物(クロルテトラサイクリン、デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、メクロサイクリン、ミノサイクリン、テトラサイクリン)を加えることによりT細胞のがん細胞傷害活性が亢進しT細胞性免疫応答賦活効果がみとめられた。また、デメクロサイクリンによるT細胞性免疫応答賦活効果は抗生剤としての適正濃度より低濃度においてもみとめられることを見出した。テトラサイクリン系化合物によるT細胞性免疫応答賦活効果について、インターフェロンγ産生、グランザイムB発現およびT細胞増殖の亢進がみられることを確認した。さらに、T細胞とがん細胞株およびBiTEの共培養を行う前にがん細胞株とデメクロサイクリンを反応させた場合とT細胞とデメクロサイクリンを反応させて場合とを比較した結果、共培養前にがん細胞株とデメクロサイクリンを反応させた場合においてのみ共培養後のがん細胞傷害活性の亢進がみられたことから、テトラサイクリン系化合物のT細胞性免疫応答賦活効果がテトラサイクリン系化合物のがん細胞への作用を介した機序によるものであることを見出した。また、健常人末梢血の他、肺癌組織についても、BiTEを用いた腫瘍内T細胞のがん細胞傷害活性がデメクロサイクリンによって亢進することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
テトラサイクリン系化合物のT細胞性免疫応答賦活効果について、がん細胞傷害活性の他に、インターフェロンγ産生、グランザイムB発現およびT細胞増殖亢進がみられることを確認し、その作用機序がテトラサイクリン系化合物のがん細胞への作用を介したものであることを見出し、作用機序解明に進展がみられたため。
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Strategy for Future Research Activity |
テトラサイクリン系化合物のがん細胞への作用について、テトラサイクリン系化合物と相互作用する標的分子を同定する。さらに標的分子を基に作用機序について詳細を解明する。
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Causes of Carryover |
動物実験の費用が当初の予定より少額であったため次年度使用額が生じた。使用計画は動物実験の他、抗体購入の予定である。
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