2021 Fiscal Year Research-status Report
ケモカイン抑制能を強化した新規間葉系幹細胞による慢性閉塞性肺疾患の細胞療法開発
Project/Area Number |
21K08155
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
宮原 信明 岡山大学, 保健学域, 教授 (70335610)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 享之 愛知医科大学, 医学部, 教授 (00456659)
谷口 暁彦 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (90751123) [Withdrawn]
肥後 寿夫 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (50818143)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | CCL2 / 肺気腫 / COPD / 間葉系幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は進行性の肺および気道の炎症および破壊を生じる疾患であり、肺や気道の変化は不可逆的であり、現在のところ治療としては気管支拡張剤等による対症療法しかない。間葉系幹細胞(MSC)は、血管内皮細胞や神経細胞などの間葉系に属する細胞への分化能を有し、2型肺胞上皮への分化能も有する。炎症抑制作用も有しており、急性、慢性炎症性疾患での治療効果が報告されているが、COPDの臨床試験では炎症反応や肺機能の有意な改善効果が認められず、抗炎症作用、組織修復作用のより優れたMSCの開発が必須である。 CCL2はマクロファージやリンパ球の遊走に関わる炎症性ケモカインであり、COPDの気道炎症、破壊に深く関与している。CCL2のドミナントネガティブ阻害剤導入MSC(7ND-MSC)は強力なCCL2抑制効果を有しており、マクロファージ等の抑制による抗炎症効果が通常のMSCより優れていると考えられる。本研究では7ND-MSCの肺気腫治療効果を通常のMSCと比較検討し、7ND-MSCの肺気腫治療への有用性を明らかにすることを目的とする。 まず、マウスにエラスターゼを経気道投与し、肺気腫を誘導したところ、気管支肺胞洗浄液中のCCL2の有意な上昇を認め、気腫誘導へのCCL2の関与が示唆された。次にマウスエラスターゼ誘導肺気腫モデルマウスに7ND-MSCを投与したところ、通常のMSCに比較し、有意に肺気腫の進展抑制効果を得ることができた。また、7ND-MSC投与により、通常MSC投与に比較し、より強力なマクロファージ、リンパ球、好中球などの炎症細胞の増加抑制が得られており、炎症と気腫改善のより優れた改善効果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
仮説通りに、通常のMSCに比較して、7ND-MSCのより優れた肺気腫の進展抑制効果を得ることができた。また、7ND-MSC投与により、通常MSC投与に比較し、より強力な気道炎症の抑制を得ることが出来、仮説通りに7ND-MSCの肺気腫進展抑制効果を得ることが出来ているため。
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Strategy for Future Research Activity |
<7ND-MSCの肺局在場所の評価> 免疫染色を行い、肺組織への7ND-MSC細胞の遊走・局在を評価する。7ND-MSC細胞には、7ND配列に連続してFLAG配列が組み込まれており、抗FLAG抗体を用いることでこの細胞の同定が免疫染色にて可能である。 <7ND-MSCの投与タイミング、投与細胞数、投与回数を変えての治療効果の検討> 7ND-MSCを肺気腫が進展したPPE投与14日以降に投与し、day28に上記評価を行い、既に完成した肺気腫への治療効果を検討する。投与細胞数や投与回数を増やすなど、7ND-MSCによる最大限の炎症・気腫改善効果が得られる投与スケジュールの検討を行う
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Causes of Carryover |
研究成果は順調に出すことができたが、コロナ禍で最小限の実験に抑えたため、予算に残額が生じた。 次年度使用額については、次年度に実施する肺組織の免疫染色やフローサイトメトリー解析に必要な物品費等に充当する予定である。
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