2022 Fiscal Year Research-status Report
自然リンパ球と脂質分子に注目した難治性喘息の病態解析
Project/Area Number |
21K08160
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
井上 博雅 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (30264039)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 弘一 鹿児島大学, 大学病院, 特任助教 (40707866)
町田 健太朗 鹿児島大学, 大学病院, 講師 (90597569)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 気管支喘息 / 自然リンパ球 / 脂質 / 寒冷刺激 |
Outline of Annual Research Achievements |
気管支喘息の治療は大きく進歩したが、その約1割は重症難治性喘息であり、高用量の吸入ステロイド薬などを用いてもコントロール困難である。さらに、重症喘息に用いる各種の抗体医薬を投与しても喘息の増悪がみられる患者も存在し、難治性喘息の病態解析は重要である。 好酸球性炎症を伴う2型炎症が主体の難治性喘息の病態には2型自然リンパ球(ILC2)の関与が、肥満合併喘息の病態には3型自然リンパ球(ILC3)の関与が注目されている。本研究では、自然リンパ球の分化や活性化に注目し、脂質分子の役割や細胞外小胞に含まれる脂質/糖質分子の役割などを解析することで喘息病態の新たな制御機構の解明をめざし、さらには、新たな治療法開発のための情報基盤を築くことを目的としている。初年度は、脂質代謝のボトルネック酵素と自然リンパ球の分化・活性化を検討した。 本年度は、自然リンパ球に注目し、喘息の自然免疫モデルを用いて自然リンパ球の活性化のメカニズムを解析するとともに、寒冷刺激による喘息増悪の機序を検討した。自然免疫モデルでは、気管支肺胞洗浄液中のILC2や好酸球数が増加し、ロイコトリエンB4やシステイニルロイコトリエンが増加した。臨床で喘息増悪のリスクが低下する長時間作用性抗コリン薬は、好酸球増多と2型サイトカインの増加を抑制したが、ロイコトリエンレベルには影響を与えなかった。すなわち、気道上皮細胞in vitroの系で報告されているアセチルコリンとロイコトリエンの関連はあきらかではなかった。一方、自然免疫モデルにおいて、寒冷曝露は好酸球性気道炎症と2型サイトカイン産生を増悪させることが明らかになった。ILC2に注目して、寒冷刺激による自然免疫反応増強のメカニズムを解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
気道上皮細胞で報告されているアセチルコリンとロイコトリエンの関連は、マウスの実験系では確認できなかった。寒冷刺激による喘息増悪の機序の解析は、ほぼ順調に進行している。 ヒト末梢血よりILC2を分離し増殖培養を行なっているが、安定した結果が得られていない。
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Strategy for Future Research Activity |
寒冷による喘息増悪を制御する新たな機序を明らかにするため、寒冷刺激による気道炎症悪化のメカニズムの詳細な解析をすすめる。 喘息病態に関与する自然リンパ球の分化と活性化に関わる新規の脂質メディエーターとそれを産生する分泌型ホスホリパーゼA2 の役割を詳細に検討する。 ヒト末梢血や好酸球性副鼻腔炎患者の鼻茸よりILC2を分離し培養、上皮由来サイトカイン等で刺激し、2型サイトカインの産生を解析する。
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Research Products
(1 results)