2023 Fiscal Year Research-status Report
高性能イミュノトキシンを用いた小細胞肺がんの標的化治療法の開発
Project/Area Number |
21K08161
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
山口 美樹 札幌医科大学, 医学部, 助教 (10530454)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 素子 札幌医科大学, 医学部, 教授 (00303941)
佐久間 裕司 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (10364514)
藤谷 直樹 札幌医科大学, 医学部, 講師 (10374191)
内田 宏昭 東京大学, 医科学研究所, 特任准教授 (20401250)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 小細胞肺癌 / イミュノトキシン / モノクローナル抗体 / 抗体薬物複合体 / 治療薬開発 / L1CAM |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は小細胞肺がんに対する抗体薬物複合体(antibody drug conjugate: ADC)型抗体薬の開発を目的としたモノクローナル抗体の樹立と新規標的の探索である。初年度は、これまでに私たちが樹立したモノクローナル抗体(抗原数:68個、抗体数:1200クローン以上)について小細胞肺がん治療における有効性を調査した。更に小細胞肺癌細胞株(SBC3/JAM3,SBC5,Lu135など)を免疫原に新規モノクローナル抗体の樹立も試みた。次年度は樹立した抗体の抗原同定および樹立できた抗体の中にADCとして有望な抗体があるかどうかを調べた。その結果、肺がんにおけるJAM3は非小細胞肺癌ならびに扁平上皮癌において発現が極めて低い(あるいは発現していない)一方で小細胞肺癌ではその発現が極めて高いことが示された。また、樹立された抗JAM3抗体の中には内在化効率が高くADC型抗体薬開発用抗体として有望な物も含まれていた(Yamaguchi M, et al. Junctional adhesion molecule 3 is a potential therapeutic target for small cell lung carcinoma. Exp Cell Res. 2023)。 本年度は、同時に進めていた小細胞肺癌細胞株であるSBC3およびLu134Aを免疫原とするモノクローナル抗体の樹立も進行中であり、現時点で内在化能を有する抗体を更に100個以上樹立できている。これらの中にはCD47, CD276, EpCAM, NCAM1およびL1CAMなどが含まれ、いずれも小細胞肺がん治療に有用と考えられた。この中でもL1CAMは、正常組織および非小細胞肺癌における発現が低く小細胞肺がんにおける発現が高いことが示された。このことから、L1CAMは小細胞肺がんの新たな有力な標的候補と考えられ現在研究を進めているところである。以上のことから、この基盤研究Cの研究期間を1年延長しL1CAMの小細胞肺がん治療の有用性について評価することにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第1に、既に小細胞肺がんの有力な標的候補であるJAM3を見出し抗体を樹立していること。 第2に、更に有力な標的候補であるL1CAMを見つけ抗体も複数クローンを樹立していること。
JAM3に関しては既に報告済みである(Yamaguchi M, et al. Junctional adhesion molecule 3 is a potential therapeutic target for small cell lung carcinoma. Exp Cell Res. 2023 Mar 27:113570. doi: 10.1016/j.yexcr.2023.113570. Online ahead of print.PMID: 36990421)。 また、今回1年間研究期間の延長を申請したが、研究が遅れているわけでは無く、新たに小細胞肺がんの有力な標的候補が見つかったため研究期間を伸ばし追加の研究が必要となったためである。
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Strategy for Future Research Activity |
L1CAMの小細胞肺がんに対する更なる特異性の検証、具体的には病理的解析を進め、正常(組織)細胞における発現についても検証する。また、樹立済みモノクローナル抗体の抗原同定も同時に進め、抗体薬としての有用性について更に検証する。
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Causes of Carryover |
新たに樹立されたL1CAM抗体はADC型抗体薬のベースとなる抗体として極めて有望であることから、その有用性を検証するために研究期間(本基盤研究C)の延長を申請し受理された。残金が生いた理由はこのL1CAM抗体の各種評価実験を実施するため今年度の研究費をセーブしながら使用してためである。
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