2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K08167
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
関根 佳織 獨協医科大学, 医学部, 講師 (70408011)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 晋一 東海大学, 医学部, 講師 (00328147)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 肺高血圧症 / 細胞移植治療 / QQ細胞 / 抗炎症作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
Quality-Quantity Cultured Cells (QQ細胞) は血管再生能・組織再生能・抗炎症効果を有する。近年の研究により、QQ細胞は、血管再生作用だけでなく、血管内を炎症部位に遊走し、炎症の強い臓器において抗炎症作用が働くことで炎症の波及を抑制・組織再生を促進する作用について示唆されている。自己末梢血の単核球(MNCs)から無血清生体外培養増幅法(Quality-Quantity Culture)により効率的に獲得され、静脈内投与により心筋梗塞後の心機能改善や 脚虚血の救肢の治験で有効性が示されている。我々は、上記の結果をもとに、強い炎症が病態の中心となる、自己免疫性劇症型心筋炎モデルラットQQ細胞を用いて細胞シートを作製し、心臓移植することで、抗炎症作用により心臓拡張能が改善することを報告した(Biology.2022)。 1995年に重症肺高血圧症(Pulmonary Hypertension:以下PH)においてIL-1、IL-6が上昇していることが報告されて以降、特に特発性PHの病態において炎症作用の関与が報告されている。先行研究の結果からQQ細胞の抗炎症作用に着目し、本研究では, Vascular Endothelial Growth Factor (VEGF) receptor blocker (Sugen5416) +慢性低酸素暴露 (Hypoxia) によるPHモデル:(Su/Hx)ラット において, 予後不良かつ治療困難な肺動脈性肺高血圧症に対するQQ細胞の治療効果を評価する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度はPHラットの作製、PHラットから採取した血液中のMNCsを培養することで得られるQQ細胞培養について検討を行った。作製したPHラットの心臓超音波検査では, Sugen投与後に低酸素暴露を行った5週間後の時点で肺動脈血流波形notch (mid-systolic notch) の出現, AcT/ET低下を認め、病理組織ではGrade2の閉塞性肺血管病変を確認した。再現性のあるPHモデルラットが作製できることを確認した。 研究がやや遅れている原因として、PHが重症であることから、モデルラットからの血液回収が困難であることに加え、末梢血液中のMNCsを培養したQQ細胞の回収率は、先行研究で行った心筋梗塞モデルラットや心筋炎モデルラットと比較し、低率であった。そのため、移植や細胞解析を十分に行うことが困難であった。 2022年度は、PHラットからの血液回収率の改善、QQ細胞培養の手技について再検討を行うことで、QQ細胞回収率が先行研究と同程度近くまで改善された。PHラットに静脈投与でQQ細胞を移植した。その結果、PBSをコントロールとして投与したラットの肺組織と比較し、QQ細胞静脈投与したラットの肺組織をPCR解析したところ、抗炎症作用を示すM2マクロファージであるFizz1が増加し、炎症作用を示すIL-6, TNFαが減少していた。QQ細胞を投与することで、炎症を低減している可能性が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、PHモデルラットから採取したMNCsとQQ細胞培養と回収が改善したことから、先行研究のQQ細胞で示された抗炎症作用と同様な細胞特性をもつか、FCM解析で細胞機能評価を行う。 そのうえで、PHモデルラットにQQ細胞を経静脈投与で移植を行い、生存率や肺組織をPCR解析、組織染色等で解析を行いその効果について検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
細胞培養の改善を行っていたために、PHラットにQQ細胞移植実験が行えず、差額が生じた。次年度は移植実験が行える環境にあるため、改善が予測される。
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