2023 Fiscal Year Research-status Report
小細胞肺癌におけるProx1によるNotch pathwayの制御機構、治療開発
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21K08195
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
榊原 純 (小西純) 北海道大学, 大学病院, 講師 (50374278)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 一郎 北海道大学, 大学病院, 教授 (40343008)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 小細胞肺癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
小細胞肺癌細胞株を使用しProx1をノックダウンしたところ腫瘍増殖が促進し遊走、浸潤能は増加した。逆にProx1を強発現したところ腫瘍増殖の抑制、遊走、浸潤能が低下した。Prox1の発現を変化させた際のNotch pathwayの発現を確認したところProx1発現を増加または抑制させてもNotch1-4受容体、Notchの下流遺伝子であるHES1,HEY1には変化を認めなかった。Prox1はCyclinD1,CyclinA1,CyclinB1を抑制しcell cylce arrestを誘導することが報告されていたためにまずcell cylceを確認した。Prox1の強発現によりG1 arrestが誘導されcell cycleを制御することで細胞増殖に影響を及ぼしていることが示された。次にCyclin関連蛋白質の発現を確認したところProx1の強発現によりCyclinA1,B1,D1の発現が低下した。 次にProx1を強発現した小細胞肺癌細胞株とコントロールをヌードマウスに皮下注射しゼノグラフトマウスモデルを作成した。経時的に腫瘍のサイズを測定したところコントロールと比較してProx1を強制発現した小細胞肺癌細胞株は明らかに腫瘍増殖が抑制された。ゼノグラフトマウスモデルの腫瘍を皮下接種後8日目に切除しwesternblotにて各種蛋白質の発現を確認した。Prox1はコントロールと比較してProx1強発現腫瘍においてProx1の発現は増加が維持されていた。またcyclinA1B1D1は発現はコントロールと比較して低下していた。マウスモデルにおいて経過観察中に体重の明らかな変化などは認めなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究最終年度にあたり小細胞肺癌におけるProx1の機能の解析としては予定していたProx1と関連するシグナルとしてNotch pathwayの確認を行ったところ当初はNotchがprox1との関連性があると予測していたがNotch蛋白に変化がなかった。このため、Prox1との関連が報告されているCycin関連蛋白質の発現の検討や、cell cylceの検討を行うことに変更したため予定より進捗が遅れたが最終的には予定通りに終了した。 Prox1がcell cylceに関連することを確認したが他の細胞増殖に影響を与えると考えられるapoptosis signalや、遊走、浸潤能に関連する上皮間葉移行に影響を与えるかどうかについて関連蛋白質や細胞形態の観察などの研究については行えていず今後検討予定とした。 またマウスゼノグラフトモデルの作成も行いProx1が腫瘍増殖に与える影響をin vitroに加えてマウスモデルにおいても確認することができた。 このためおおむね順調に進展はしているがいくつか必要な研究項目は残っており今後継続施行が必要と考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
上記に記載のようにProx1がapoptosisに与える影響についてはProx1のノックダウンまたは強制発現細胞株においてAnnexinVとPIを使用しフローサイトメトリーにて確認する。その結果としてapoptosisとの関連を認めた場合はCaspase3,PARPなどのapoptosis関連蛋白の発現などを確認する。さらにapoptosis関連蛋白としてProx1とBcl2familyとの関連性が報告されておりBcl2関連蛋白質の発現も確認することにする。また上皮間葉移行(EMT)に影響を与えるかを確認するためにEMTマーカーであるE-cadherin、Vimentin、Snailなどの発現をwesternblotで確認することにする。形態学的変化についても確認する。 また最終的に今回の研究で得られたデーターについて再度研究分担者や協力者と一緒に検証し統計学的な解析を行い有意差など再度確認を追加する。 その結果を交えて今後は発表、論文化を目指していく。
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Causes of Carryover |
当初の研究よりapoptosis関連シグナルのの検討のための研究や、上皮間葉移行に与える影響の研究が未施行のため次年度の使用額が生じた。さらに今後の結果の統計学的な解析や、発表、論文化が必要なため次年度の使用計画が発生した。
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