2022 Fiscal Year Research-status Report
肺線維芽細胞に焦点を当てた間質性肺炎と肺癌を結びつける分子病態の解明
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21K08200
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野口 智史 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60732807)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 間質性肺炎 / 肺癌 / バイオマーカー / Gremlin1 |
Outline of Annual Research Achievements |
間質性肺炎は喫煙とは独立した肺癌の危険因子の一つであるが、両疾患を結びつける分子病態は未解明の部分が多い。まず公共データベースを用いた解析を行い、BMPアンタゴニストの一つであるGREM1(Gremlin-1)に注目した。前年度では特発性肺線維症(IPF)患者から得られた肺組織のscRNA-seqの公共データの解析及びIPF患者の肺を用いた高感度RNA-ISH法により、GREM1はPOSTN-highの筋線維芽細胞で比較的特異的に高発現であることを見出した。 今年度はヒト胎児肺線維芽細胞株HFL-1及び間質性肺炎の移植肺から独自に樹立した初代培養肺線維芽細胞を用いて、GREM1の機能解析及び発現制御メカニズムを解明した。エピジェネティクス解析によりGREM1遺伝子発現はTGF-b/SMADシグナル、YAP/TAZ-TEADシグナルによって制御される可能性が示唆されたため、それを阻害剤やsiRNAを用いた細胞実験で確かめた。特にTGF-b投与によるGREM1発現の上昇はqRT-PCRによりRNAレベル、ELISAにより培養上清での蛋白レベル両者で確認することができた。さらにGREM1に対するsiRNAを用いた実験で、GREM1が細胞増殖やコラーゲンゲル収縮を促進すること、各種コラーゲン発現を増加させることを見出した。 以上よりGREM1が肺線維芽細胞において線維化を促進させる役割を持つことが示された。公共データベースを用いた解析ではGREM1は肺癌における予後因子となる可能性が示唆されており、今後は間質性肺炎と肺癌を結びつける分子病態におけるGREM1の役割を詳細に検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
間質性肺炎と肺癌の両疾患を結びつける遺伝子として公共データベースを用いた解析でGREM1という遺伝子を抽出し、間質性肺炎におけるGREM1の発現解析及び機能解析を中心に行った。間質性肺炎の移植肺から樹立した初代培養肺線維芽細胞を用いて、増殖、収縮、ECM産生といった機能解析で一定の成果が挙げられたが、まだ肺癌との関連についての研究へ進めていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
公共データベースの解析や移植肺から独自に樹立した初代培養肺線維芽細胞を用いて、間質性肺炎におけるGREM1の発現や機能解析で有意な結果が得られたため、今後は肺癌-癌関連線維芽細胞(CAF)相互作用におけるGremlin-1 の役割に関する研究を行う。具体的にはCAFと肺癌細胞株との共培養の系で、肺癌細胞の増殖や生存に与える影響を調べ、さらに肺癌臨床検体を用いて予後や臨床病理学的パラメータとの関連を明らかにする。
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Causes of Carryover |
研究の進捗がやや遅れたため。 細胞株を使った実験や肺癌組織の免疫染色に使用する。
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