2021 Fiscal Year Research-status Report
長鎖非コードRNAによるmiRNA制御を介した放射線誘発線維症の解明と臨床的応用
| Project/Area Number |
21K08206
|
|---|
| Research Institution | Oita University |
|---|
Principal Investigator |
矢野 博之 大分大学, 研究マネジメント機構, 教務職員 (50448552)
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉岡 秀克 大分大学, 医学部, 客員教授 (00222430)
松尾 哲孝 大分大学, 医学部, 准教授 (10284788)
樋田 真理子 大分大学, 医学部, 客員研究員 (10737224)
濱中 良志 大分県立看護科学大学, 看護学部, 教授 (60274750)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
| Keywords | 長鎖非コードRNA / miRNA / 放射線誘発線維症 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
肺線維症は、肺の間質が硬質化することにより呼吸機能が低下していく進行性の疾患であり、放射線治療の際の合併症等、様々な原因で起こる。放射線によって誘導される線維化（Radition induced fobrosis; RIF）の発生メカニズムについて、結合組織を構成する主要なタンパク質であるコラーゲンが重要な役割を担うことが報告されており、我々はこれまでに、サイトカインTGF-βの異常な活性化によりコラーゲンの発現が促進され、その結果コラーゲン分子が過剰に産生・沈着することを報告した。また、TGF-βの応答因子でありコラーゲン産生を促進すると考えられている結合組織成長因子（Conective tissue growth factor：CTGF）がRIFプロセスに関与すること、そして非コードRNA(ncRNA)の一種であるmicroRNA（miRNA）としてmiR-29およびmiR-26が転写後のコラーゲン発現を調節し、線維化を抑制的に作用することを明らかにした。そこで本研究では、別のncRNAであり、競合的にmiRNAの機能を阻害する長鎖非コードRNA（long non-coding RNA：lncRNA）に着目し、転写後のコラーゲン発現調節に関与するlncRNAを同定して線維化プロセスにおけるlncRNAおよびmiRNAの作用機序を明らかにすることを研究目的とする。
本年度は、マウス肺組織から単離した肺線維芽細胞を用いて、lncRNAアレイ解析およびreal-time PCRを行い、放射線照射により発現が変動するlncRNAを網羅的に検討した。その結果、放射線により発現が2倍以上に亢進した13種のlncRNA、及び0.5倍以下に低下した47種のlncRNAを抽出した。次年度以降、発現が変動したlncRNAの中でTGF-βの活性化、及びCTGFやコラーゲンの発現調節に関与しうるlncRNAを解析し、それらのlncRNAの機能的役割について調べる。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
RIFプロセスにおける線維化形成を制御するlncRNAと競合するmiRNA間との相互作用の解明を目的として、Luciferase assayを用いてlncRNAに結合しうるmiRNAの同定を検討しているが、ルシフェラーゼコンストラクトの作製に時間がかかっており、lncRNAとmiRNA間の相互作用につていの解析が進んでいない。
|
| Strategy for Future Research Activity |
RIFプロセスに関与するlncRNA、及びそれらlncRNAと競合するmiRNAを同定したら、今後、それらlncRNAおよびmiRNAの過剰発現や阻害実験を行い、転写後の線維化プロセスにおけるlncRNAおよびmiRNAの作用機序を明らかにすることを目指す。
|
| Causes of Carryover |
所属施設及び関連施設が、2019年度から施設改修およびその準備作業に入っており、さらに新型コロナウイルスの影響により、施設改修の工期が大幅に遅れた。そのため、2021年度に予定していた放射線照射実験およびRIトレーサー実験が行えず、これらの実験については次年度に行う必要が生じた。 以上の実験進行上の遅れ及び施設改修の理由により、予算を繰り越すこととした。
|
Research Products
(1 results)
