2022 Fiscal Year Research-status Report
長鎖非コードRNAによるmiRNA制御を介した放射線誘発線維症の解明と臨床的応用
Project/Area Number |
21K08206
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Research Institution | Junshin Gakuen University |
Principal Investigator |
矢野 博之 純真学園大学, 放射線技術科学科, 講師 (50448552)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉岡 秀克 大分大学, 医学部, 客員研究員 (00222430)
松尾 哲孝 大分大学, 医学部, 准教授 (10284788)
樋田 真理子 大分大学, 医学部, 客員研究員 (10737224)
濱中 良志 大分県立看護科学大学, 看護学部, 教授 (60274750)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 放射線誘発線維症 / miRNA / 長鎖非コードRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
肺線維症は、肺の間質が硬質化することにより呼吸機能が低下する進行性の疾患である。放射線治療において高線量および複数回の放射線曝露の結果、副作用として放射線によって誘導される線維化(RIF)の発生が懸念されている。RIF発生メカニズムについて、主要な結合組織構成因子であるコラーゲンが重要な役割を担うと考えられている。我々はこれまでに、サイトカインTGF-βの異常な活性化によりコラーゲンの発現が促進されること、そして、コラーゲン産生を促進する結合組織成長因子(CTGF)がRIFプロセスに関与することを報告した。さらに、非コードRNA(ncRNA)であるmicroRNA(miRNA)が転写後のコラーゲン発現を調節し、線維化を抑制的に作用することを明らかにした。そこで本研究では、競合的にmiRNAの機能を阻害する長鎖非コードRNA(lncRNA)に着目し、RIFプロセスに関連して転写後のコラーゲン発現調節におけるlncRNAの作用機序を明らかにすることを研究目的とする。前年度、マウス肺線維芽細胞を用いたlncRNAアレイ解析により放射線により発現が変動するlncRNAを網羅的に調べた。本年度は、コラーゲンの発現を調整するとの報告があり、lncRNAアレイの結果で放射線により発現低下したH19の機能的役割について調べた。まず、1) H19の阻害実験を行った結果、H19が放射線によるコラーゲンの発現増加を調節することが分かった。さらに、2) H19の競合的内因性RNA(ceRNA)について調べた結果、in silico解析によりmiR-196の関与が予想された。次年度以降については、ルシフェラーゼアッセイ等により、RIFプロセスにおけるH19とmiR-196間の相互作用について調べる予定でいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1) lncRNA-H19によるコラーゲンの発現調整に関与する細胞内シグナル伝達経路について H19の阻害実験の結果、H19が放射線によるコラーゲンの発現増加を調節することが分かった。この調節に関して更なる知見を得るために、TGF-βシグナル伝達の主要な転写因子であるSmad2/3に対するH19の影響について検討しているが、現在のところH19とSmad2/3の関与について明らかにできていない。今後は、Smad2/3に加えてMAPKやp38シグナル伝達等TGF-βシグナル伝達とのクロストークが報告されている他のシグナル伝達経路へのH19の影響について調べる予定である。 2) RIFプロセスにおけるmiR-196によるコラーゲンの発現制御について lncRNA-H19のceRNAと考えられるmiR-196についても、放射線によるコラーゲンの発現増加に与える影響について調べることを検討している。早急にmiR-196に関するルシフェラーゼコンストラクトの作製等を行い、放射線によるコラーゲンの発現増加におけるmiR-196の作用機序を明らかにすることを目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
lncRNA-H19について、放射線によるコラーゲンの発現増加に与える影響についてさらに調べるために、CRISPRシステムを用いてstableなlncRNA-H19のノックダウン細胞株の樹立を目指す。lncRNA-H19ノックダウン細胞株の樹立が完成したら、コラーゲンやCTGF等の遺伝子発現レベル及びタンパク産生レベルを調べて、lncRNA-H19がRIFプロセスにおける線維化形成にどのように影響を与えるか評価する。 同時にlncRNA-H19のceRNAと予測されるmiR-196についても、CRISPRシステムによるstableなノックダウン細胞株の樹立を目指し、RIFプロセスにおけるlncRNA-H19とmiR-196の相互作用について調べる。
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Causes of Carryover |
前年度までに取得していた科学研究費を延長しており、そちらの予算を優先的に使用していたため、本予算の使用額が少なくなった。これに加えて研究の進行に合わせて試薬や消耗品等の購入していたたため、予算を繰り越して使用することとした。また、今年度、研究機関を変更しため、研究環境の立ち上げの準備等に時間がかかり、試薬や消耗品費が少なくなった。 次年度以降は試薬・細胞培養用の消耗費や実験機器の購入費に充てると共に、関連学会の旅費、論文の英文添削・投稿料等に充てる予定である。
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