2022 Fiscal Year Research-status Report
AXLを標的とした肺がん個別化医療実現に向けた基盤研究
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21K08209
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
山本 信之 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (60298966)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
洪 泰浩 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (80426519)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 肺がん / 分子標的治療 / 薬剤耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究申請においては、AXLと呼ばれる分子が薬物治療への耐性に関与するという知見を踏まえ、AXL発現の診断におけるリキッドバイオプシーによる非侵襲的な診断法の確立及びAXLを標的とする新規治療戦略を探索するとともに、肺がん患者の長期生存を実現するためのがん個別化医療推進への基盤確立を目指すことを目的とし、本年度は昨年度からの研究を継続し、以下の取り組みを行った。 肺がん患者における血中循環腫瘍細胞(circulating tumor cells: CTC)でのAXL発現の評価のために必要なCTCの検出及び評価のため、従来法に取って代わるdeterministic lateral displacement(DLD)法の開発を進めている。DLD法を用いたデバイスは、従来のデバイスよりも簡便で安価にCTCを検出、補足できる可能性がある。加えて、細胞への侵襲度が低いことが期待されており、二次的な培養の成功率向上が期待される。DLD法について、非小細胞肺癌細胞株を用いた基礎検討を実施中であり、検出感度及び特異度の検討を行い、改善のためにデバイス流路の材質の変更を予定している。また検体流速及びデバイス圧の最適化についても検討中である。CTCを用いてのオルガノイド培養研究については、DLD法を用いての検討を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「胸部原発悪性腫瘍患者の血液検体からdeterministic lateral displacement(DLD)法を用いた血中循環腫瘍細胞(circulating tumor cells, CTCs)の検出・回収方法の開発」の研究について、倫理審査委員会で承認を得ており、いつでも患者検体を用いての検討が可能な状況である。従来のデバイスよりも簡便で安価にCTCを検出、補足できる可能性があるDLD法についての基礎検討を進めており、いくつかの改善点が明らかになったため、現在その解決を図っている。今後は本デバイスを用いての検討を進める予定である。CTCを用いてのオルガノイド培養研究については、DLD法を用いての検討を予定している。培養細胞株を用いた検討については、PC9肺腺がん細胞株を用いたEGFR阻害剤に対する耐性細胞を樹立済みである。EGFR阻害剤であるアファチニブとオシメルチニブの併用療法に対する耐性獲得モデルとしてAXL高発現肺がん細胞株をすでに樹立しており、今後その解析を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
CTC検出感度の改善及び測定コストの低減を目的にDLD法を用いたデバイスの導入を行ったため、基礎的なデータ取得が必要となっており、その測定条件最適化をさらに進める。その後に肺がん症例での評価を実施する予定である。CTCを用いてのオルガノイド培養研究についても、DLD法を導入して樹立成功の改善を図る。加えて、培養においては、ヒト幹細胞培養用の培養液を用いるとともに、細胞外マトリックスの添加を試みる。細胞外マトリックス及び線維芽細胞等の間質細胞の選定を最適化することにより、より効率的な三次元細胞培養モデルの確立を試みる。当初予定していた次世代シーケンシングの実施が次年度以降となったため、本年度の使用額が予定よりも少なくなるとともに、次年度以降の使用額が増えることになった。次年度には臨床検体を用いての評価を中心に予定しており、その測定にも研究費を使用する。
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Causes of Carryover |
当初予定していた臨床研究の開始が遅れており、その際に実施予定であった次世代シーケンシングの費用が未使用となっている。そのため、次年度に次世代シーケンシング用の消耗品使用予定額が増えることになった。加えて、次年度には臨床検体を用いての評価を中心に予定しており、その測定にも本年度使用を予定していた研究費を使用することとなる。
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