2023 Fiscal Year Annual Research Report
特発性肺線維症に対する脱分化脂肪細胞静脈内投与による治療効果の検討
Project/Area Number |
21K08215
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
風間 智彦 日本大学, 医学部, 助教 (80525668)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水村 賢司 日本大学, 医学部, 兼任講師 (20761688)
松本 太郎 日本大学, 医学部, 教授 (50366580)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 脱分化脂肪細胞 / DFAT / 特発性肺線維症 / 成熟脂肪細胞 / 間葉系幹細胞 / 脂肪組織由来幹細胞 / マクロファージ / 脱分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、特発性肺線維症に対する脱分化脂肪細胞(DFAT)の治療効果を明らかにする目的で、肺線維症モデルマウスに対するDFAT静脈内投与による治療有効性ならびにマクロファージの活性化に対するDFATの影響を検討した。本研究において、ブレオマイシン(BLM)を経気道投与して作製した肺線維症モデルマウスに対してマウスならびにヒトDFATを尾静脈内に投与した。細胞投与後のマウス肺組織を摘出して組織切片を作製後、HE染色、マッソントリクローム染色ならびに抗ヒトビメンチン抗体を用いた免疫染色を行なった。また、肺組織中のコラーゲン含量測定のためHydoroxyproline Assayを行なった。各染色結果より、BLM投与の肺線維症モデル群では広範な炎症浸潤と膠原繊維の沈着が観察され、肺組織線維化の進行が認められたが、BLMが誘発した肺線維化は、DFAT投与によって抑制された。また、Hydroxyproline Assay測定結果より、肺組織中のコラーゲン量は、肺線維症モデルマウスに対するDFAT未投与群と比較して、DFAT投与群において有意に減少した。また、移植3週間後のマウス肺組織においてヒトDFATは全ての群において生着を認められなかった。M1またはM2マクロファージに分化させたヒト単球由来細胞株THP-1をヒトDFATと非接触型共培養を行い、共培養後のM1またはM2マクロファージの活性化マーカーをリアルタイムPCRやELISA法にて解析した。ヒトDFATとの共培養により、THP-1由来M1マクロファージではTNFα、IL-6、IL-1βの発現が減少し、M2マクロファージではIL-10の発現が増加することが示された。これらの結果より、DFATは肺線維化に係わる免疫細胞の抗炎症作用を増進させる効果を有し、肺線維症モデルマウスに対するDFAT静脈内投与の治療効果が示された。
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