2022 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of role of YB1 in PD-L1 expression to develpe immune check point inhibitor therapy
Project/Area Number |
21K08217
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
水谷 泰嘉 藤田医科大学, 医学部, 講師 (10546229)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲田 健一 藤田医科大学, 医学部, 教授 (70246081)
鈴木 元 藤田医科大学, 医学部, 教授 (80236017)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | PD-L1 / YBX1 / 肺がん |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、PD-L1(Programmed death 1 ligand 1)の発現制御におけるYBX1(Y box binding protein 1)の機能を明らかにすることである。これまでに、肺がん細胞株においてYBX1がPD-L1 mRNAの安定性を低下させることを明らかにしている。前年度の検証により、YBXによるPD-L1 mRNA不安定化には、intron retentionとは異なる機構が作用していることが考えられた。そこで、PD-L1 mRNAの3’-UTRを介したmRNA安定性におけるYBXの寄与を検証するために、3’-UTRをクローニングしてYBX1ノックダウン下でluciferase assayを行ったが、YBX1がPD-L1 mRNAの3’-UTRを介してmRNAを不安定化することを示す結果は得られなかった。そこで本年度は、3'RACE(Rapid amplification of cDNA ends)法を用いて、肺がん細胞株について、YBX1ノックダウン下におけるPD-L1 mRNAの3'-UTRの構造変化を、コントロール細胞と比較した。その結果、アガロースゲル電気泳動において、0.6kbpのプロダクトを主体とする複数のバンドが確認された。しかし、YBX1ノックダウン細胞とコントロール細胞の間に、泳動パターンの違いは認められなかった。0.6kbpのバンドについて、シーケンスを確認したところ、各クローンでPD-L1の3’UTRと相同な配列を検出した。しかし、コントロール細胞とYBX1ノックダウン細胞の間に特徴的な塩基配列の違いは認められなかった。以上の結果から、YBX1は今回検出されたPD-L1 mRNA 3'-UTRの領域を介して、mRNAの安定化に寄与する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
YBX1のPD-L1 mRNAの転写への影響を否定するデータおよびPD-L1 mRNAの安定化へ寄与を示すデータを得ていることから、YBX1のPD-L1 mRNAの安定化機構への影響の解明に着目して研究を進めている。この機構の解明に想定よりも時間がかかっている。mRNA安定化の機序として、YBX1によるintron retentionの促進や3'-UTRの構造変化、3'-UTRへの相互作用を介した不安定化が想定された。しかし現在のところ、YBX1がこれら想定された機構を介してPD-L1 mRNAの安定性に影響することを示す結果は得られていない。以上の理由から、研究の進捗がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、YBX1によるPD-L1 mRNAの安定化機構への影響の解明に着目して研究を進める。RNA immunoprecipitationによるPD-L1 mRNAの3'-UTR領域とYBX1蛋白質との相互作用を検証する。また、肺がん手術材料の病理組織標本について、PD-L1とYBX1の免疫染色により、両分子の発現パターンを比較して、PD-L1とYBX1の発現が逆相関するかどうかを調べる予定である。
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Causes of Carryover |
YBX1のPD-L1 mRNA不安定化の制御機構の解析について期待した成果が得られず、研究計画が変更なったため、次年度使用額が生じた。この費用は次年度の研究消耗品の購入に充てる予定である。
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