2021 Fiscal Year Research-status Report
Discovery of new therapeutic target genes using diabetic nephropathy model animals
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21K08228
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
臧 黎清 三重大学, 地域イノベーション学研究科, 特任講師(教育担当) (10437105)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島田 康人 三重大学, 医学系研究科, 講師 (40378427)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 糖尿病性腎症 / 治療標的遺伝子 / モデル動物 / ゼブラフィッシュ / ゲノム編集 |
Outline of Annual Research Achievements |
2型糖尿病患者の高血糖状態が長期化すると全身の動脈硬化が進行し、3大合併症と呼ばれる糖尿病性腎症、網膜症と神経障害が発症する。糖尿病性腎症は不可逆的な糸球体の障害により、蛋白尿を呈した段階からほぼ確実に慢性腎不全に至ることが知られており、現在の医学では完治できない病気である。ゼブラフィッシュは、腎臓の機能と組織構造が哺乳類動物と高度に類似し、人間にないネフロン再生能力も保持しているため、腎障害・腎再生の実験動物として注目されている。本研究の目的は、ゼブラフィッシュまたは哺乳類の糖尿病性腎症モデル動物を用いて、腎症治療標的遺伝子の探索を行うことである。 本研究を遂行するために以下の工程を実施した:1)糖尿病性腎症治療標的遺伝子の抽出。平成30年-令和2年度科研費の研究では、2型糖尿病性腎症モデルゼブラフィッシュの構築が成功し、トランスクリプトーム解析により糖尿病性腎症関連遺伝子候補群を抽出した。これら候補遺伝子の変動を検証するため、糖尿病腎症個体では正常個体より発現レベルが上昇する遺伝子群に対し、qPCRによるバリエーション実験を行い、RNAseqとqPCRの両方で発現上昇をしていた遺伝子が30個を同定した。2)ゲノム編集技術CRISPR/Cas9システムによるノックアウト系統の確立。1)で同定した遺伝子群に対し、発現レベルと有意差を基準に上位10個を選択し、各々のガイドRNA(gRNA)を3つずつ合成した。次に、各々のgRNAがマイクロインジェクションによりゼブラフィッシュ糖尿病性腎症モデルzMIR/VDBP系統の受精卵に導入し、ジェノタイピングPCRにより各gRNAのノックアウト効果を確認した。最終的に、ゲノム編集について最も効果のあるgRNAを選出し、各遺伝子のノックアウト系統を作製した。現在10種類のノックアウト系統の正常飼育が進んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は令和3年度の研究実施計画通り遂行されており、特に遅滞はない。研究成果として、糖尿病性腎症治療標的遺伝子候補群を同定したうえ、ゼブラフィッシュ糖尿病性腎症モデルを用いて、CRISPR/Cas9ゲノム編集技術により各遺伝子のノックアウト系統を作製した。現在10個の系統を飼育中であり、おおむね研究計画立案通り順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は腎症モデルゼブラフィッシュを用いたスモール・スケール・スクリーニング検証試験、即ち標的遺伝子ノックアウト系統を用いた腎症表現型の評価を中心に行う。10個の標的遺伝子ノックアウト系統に対し、順次に3ヶ月齢の成魚を選別し、過剰給餌による糖尿病性腎症の誘導を行う。経時的にタンパク尿を測定し、腎症個体と比較して、標的遺伝子ノックアウト系統のタンパク尿漏れが改善しているか、または腎臓糸球体の病変評価(HE染色、電子顕微鏡画像)などにより腎症に対する影響を評価する。 本年度の研究費は、主にqPCR、タンパク質尿測定や電子顕微鏡関連試薬の購入に使用する。また適宜研究成果は学会にて発表するため、その費用として使用する。
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Causes of Carryover |
令和3年度の研究において、当初予定したゲノム編集技術のgRNA合成は、外注をやめ自身で合成したため、コスト減により差額が生じた。 今年度の予算と合わせて遺伝子発現や腎症表現型解析に関連する試薬の購入及び研究発表のための出費などに使用予定である。
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