2021 Fiscal Year Research-status Report
オートファジーに着目した糖尿病性腎臓病治療薬の開発
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21K08229
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
山原 真子 滋賀医科大学, 医学部, 特任講師 (70731941)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | オートファジー / 糖尿病性腎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
mTORC1抑制介さずにTFEBを活性化する薬剤のスクリーニングを、化合物ライブリー(計73,992化合物)を用いて行い、化合物Xを同定した。まずは化合物Xの単回投与による血中濃度の推移や副作用についての評価をおこなった。その結果、化合物Xを10mg/kgおよび30mg/kgで経口投与すると投与後1時間で血中濃度のピークを認め、4時間後には投与前濃度まで低下を認めた。単回投与において副作用は認めなかった。このため、化合物Xを10mg/kgおよび30mg/kgの用量で連日経口投与を行うこととした。 この化合物Xを糖尿病モデルマウスであるdb/dbマウスに16週間投与を行い、腎組織評価および尿蛋白量について評価を行った。その結果、化合物Xの投与により尿蛋白量に変化は認めなかった。腎組織の染色により、化合物Xはdb/dbでみられるポドサイトでのmTORC1亢進を抑制しなかったが、P62染色によるオートファジー活性の評価において、オートファジーの活性も変化させなかった。また、化合物Xの高容量16週間投与において、明らかな副作用などは認めなかった。 以上の結果から、化合物Xは、in vitroにおいてmTORC1抑制を介さずにTFEBおよびオートファジーを活性化させたが、in vivoにおいては十分なオートファジー活性化を認めず、腎保護効果を示さなかった。今後、化合物Xの投与方法の再検討を行うとともに、新たな候補化合物を探索することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度予定していた化合物Xの糖尿病モデルマウスへの投与実験およびその評価を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
残念なから、化合物Xは動物モデルにおいてオートファジーを活性化させず、腎障害を改善させなかったが、現在、化合物Xの投与方法の再検討および、新たなオートファジー活性化薬であるスペルミジンについて、同様に糖尿病モデルマウスにおいてTFEBの活性化や腎障害の改善効果があるか検討を行っている。
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